再発防⽌に向けた取り組み(意識⾏動改⾰)
当社グループでは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技⼤会関連事案に関して、2023年5月15日に「dentsu Japan改⾰委員会」を設置し、意識行動改革に取り組んできました。そして、2023年5月よりdentsu Japan改革委員会の下で進めてきた再発防止のための17施策については、2024年12月18日に全ての施策を完了しました。
2025年1月からは、インテグリティを最優先する組織風土の定着、高いレベルでのコンプライアンスの徹底などを目的に、これまでの取り組みを発展させ、「意識行動改革プロジェクト」を推進しています。
再発防止に関する方針
dentsu Japan意識行動改革プロジェクト
従業員調査
社外アドバイザーによるモニタリング評価
2024年までの意識行動改革の取り組み
再発防止に関する関連ガイドライン
関連資料 調査検証委員会による報告書
関連資料 ESG説明会
関連ニュースリリース
再発防止に関する方針
dentsu Japan改革委員会の発足時より掲げている、再発防⽌に関する⽅針は下記の通りです。
全体方針:社会に対する責任意識と透明性を⾼め、守るべきルールやプロセスを明確にします。
①公正な取引を担保するため、業務プロセスを⾒直すとともに、本事案の起点となったスポーツ領域やパブリック業務などに関わるガイドラインの策定・改訂、出向先組織との利益相反を防ぐ情報管理措置の導⼊など、過去事案の分析、考察、振り返りから得たナレッジを事業運営に反映する仕組みを構築します。
②制定済みのポリシーや社内報告体制を定期的に点検し、内部統制の実効性の向上を図ります。特に各組織単位で案件毎のコンプライアンス推進を図るための幹部会議体やガバナンス担当者の設置など、チェックとモニタリングの機能を強化します。
③経営層から実務担当者まで、改めてdentsu Japan全体でコンプライアンス教育を実施し、知識の習得、意識の向上を図るとともに、独占禁⽌法についての研修の実施、相談窓⼝の設置に加え、dentsu Japan内のコンプライアンス担当組織の拡充を通して、コンプライアンスに関する取り組みの内容の充実と継続性を担保します。
④正しい組織⾵⼟の規定と定着に向け、電通グループ⾏動憲章の周知徹底を⾏うとともに、組織⾵⼟の醸成に向けた活動をdentsu Japan全体で強化します。また、ガバナンスが適切に機能するように、⼈事制度も⾒直します。
dentsu Japan意識行動改革プロジェクト
2025年1月より、dentsu Japan COOがリーダーに、dentsu Japanチーフ・ブランディング/カルチャー・オフィサーがサブリーダーに、dentsu Japan各社の事業現場をサポートする株式会社電通コーポレートワン担当部署がメンバーとなり、新たな体制で、事業現場の課題に寄り添い、インテグリティを最優先する組織風土の定着、高いレベルでのコンプライアンスの徹底などに向けて、「dentsu Japan意識行動改革プロジェクト」を推進しています。
dentsu Japan意識行動改革は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技⼤会関連事案が取り組みを始めた契機ですが、事案の再発防止だけでなく、dentsu Japanがさらに成長するための健全な企業活動の基盤を揺るぎないものにするための取り組みとしても位置付け、dentsu Japan全体でプロジェクトに取り組んでいます。
●プロジェクトの推進体制
推進メンバー | 役割 | |
---|---|---|
リーダー | dentsu Japan COO 綿引 義昌 | 施策起案・進捗報告 |
サブリーダー | dentsu Japan チーフ・ブランディング/カルチャー・オフィサー 吉羽 優子 | 施策起案・進捗報告 事務局業務 |
サポート | 株式会社電通グループ グローバル・コーポレート・セクレタリー 兼 デピュティ・グローバル・ゼネラル・カウンセル 永江 禎 | 推進サポート |
メンバー | 株式会社電通コーポレートワン 法務オフィス コンプライアンスオフィス ブランディングオフィス 事業・経営企画オフィス | 施策の推進・現場との連携 |
アドバイザー(社外) | 弁護士 伊丹 俊彦 | モニタリング・アドバイザリー |
アドバイザー(社外) | 弁護士 吉野 弦太 | モニタリング・アドバイザリー |
アドバイザー(社外) | 弁護士 大東 泰雄 | モニタリング・アドバイザリー |
●2025年度の施策
2024年度までに完了した17施策の成果を活かして、❶組織風土、❷仕組み、❸法令知識と遵守意識の3つのテーマにおいて、意識行動改革の施策に継続して取り組んでいます。

●2025年度の主要施策
・インテグリティを最優先する組織風土の定着に向けた経営陣と従業員の対話
業務におけるインテグリティの重要性などをテーマに、意識行動改革プロジェクトのリーダーがdentsu Japan各社の従業員との座談会を定期的に実施しています。また、座談会の内容はdentsu Japan全従業員に配信し、従業員がインテグリティについて理解を深める施策にも活用しています。

・インテグリティへの従業員の理解醸成を支援するツールの制作と活用
事業現場で生じたインテグリティに関わる悩みを支援するため、dentsu Japan各社の役員、従業員の協力を得て、業務上での迷いや不安を感じた時に参考になるような対応方法、考え方などをまとめたツール(インテグリティヒントブック)をdentsu Japanの全従業員へ周知し、各組織で活用しています。
・dentsu Japanコンプライアンス責任者・マネージャーやその補佐が参加するワークショップの実施
dentsu Japanの各組織に設置したコンプライアンス責任者・マネージャーやその補佐が参加し、外部の専門家の協力の下で、コンプライアンス事案への対応を学ぶワークショップを実施することで、コンプライアンスに関する知見の向上に取り組んでいます。

・電通グループ行動憲章の再周知
電通グループに属するすべての人が理解し、実践することが求められる「電通グループ行動憲章」について、日本以外も含む全ての従業員がその内容を確認し、行動憲章に同意する研修を昨年度に続いて実施しています。
従業員調査(第1回 2023年11月、第2回 2024年2月、第3回 2024年5月、第4回 2024年11月)
2023年11⽉にdentsu Japan 全従業員を対象にした調査、続いて2024年2⽉及び5⽉に、約5000⼈を対象としたサンプル調査、2024年11月に再び全従業員を対象にした調査による従業員調査を実施しました。
これまでの調査結果は以下のとおりです。
- 意識⾏動改⾰の認知・理解をはじめ、第1回調査から第4回調査にかけて、全体的に各スコアが着実に上昇。特に上昇幅が⼤きかったのは「インテグリティへの⾔及(認知、理解)」「インテグリティの具体的理解」「組織風土の定着」の項⽬
- 「インテグリティと成果の両立」の項目などは第1回調査以降でほぼ横ばいであり、インテグリティを最優先に業務へ取り組むにあたり、事業現場が迷いを⽣じないためのさらなるサポート強化が必要
- インテグリティを最優先する組織風土の定着に向けて、継続した取り組みが必要
社外アドバイザーによるモニタリング評価
社外アドバイザーによる意識⾏動改⾰のモニタリング評価は以下のとおりです。(2025年8⽉14⽇時点)
●伊丹 俊彦 氏
昨年に引き続きインテグリティ・セッションなどを通じてインテグリティの理解の浸透と深化に努めている。また、クライアントとインテグリティのある関係構築のために対談を新規に実施するなど、常にdentsu Japan意識行動改革プロジェクトの内容を検討して前に前にと力強く推し進めようとしている姿勢は高く評価され、浸透度を常にモニタリングしながら、進めていってほしい。また、業務におけるインテグリティの重要性に関する理解は進んできているので、インテグリティと利益との優先関係といった従来の視点から、インテグリティが電通グループの企業理念であるNORTHSTARの重要な基盤の一つであるとの視点への転換と問いかけが必要な時期だと思われる。
●吉野 弦太 氏
個人が、チームが、日々の業務遂行過程でインテグリティを考え、実践されており、共通の価値観として定着してきたことが実感される。目の前の事象や課題、業務に素朴な疑問を持つこと、それこそがインテグリティの実践につながる大切な端緒である。それを口にすることが憚られる、それを言い出して他の人に迷惑をかけたくないなど様々な要因で顕在化の機会を失うことがないよう、みんなで疑問点を共有し、議論し、よりよい判断ができるような職場環境の維持・発展に努め、更なるインテグリティの実践を望んでいる。
●⼤東 泰雄 氏
インテグリティの浸透に向け、全社が一丸となった取組を継続していることに敬意を表したい。1.特定部署の取組や悩みを語る座談会、2.クライアントからのフィードバック、3.ワークショップにおける議論など、抽象的な理念にとどまらないインテグリティの具体的な実践・浸透に向け、様々な観点から重層的な取組が行われており、成果を上げつつあると見受けられる。これらの活動を、是非継続していただきたい。
2024年までの意識行動改革の取り組み
●dentsu Japan改革委員会メンバー
メンバー | 役割 | |
---|---|---|
委員長 | 株式会社電通グループ 代表執行役 社長 グローバルCEO 五十嵐 博 | 統括・取締役会への説明 |
副委員長 | 株式会社電通グループ 代表執行役 副社長 グローバル・チーフ・ガバナンス・オフィサー 兼 グローバルCFO 曽我 有信 | 委員長補佐・推進サポート |
委員(社外) | 弁護士 伊丹 俊彦 | アドバイザリー |
委員(社外) | 弁護士 吉野 弦太 | アドバイザリー |
委員(社外) | 弁護士 大東 泰雄 | アドバイザリー |
委員 | 株式会社電通グループ グローバル・コーポレート・セクレタリー 兼 デピュティ・グローバル・ゼネラル・カウンセル 永江 禎 | 推進サポート |
リーダー | dentsu Japan CEO 佐野 傑 | 施策起案・進捗報告 |
リーダー/事務局長 | dentsu Japan COO 綿引 義昌 | 施策起案・進捗報告 事務局業務 |
(2024年1月1日時点)
●再発防⽌の進捗(2024年12月完了)
(2024年12月18日時点)
再発防止に関する関連ガイドライン
関連資料 調査検証委員会による報告書
外部有識者3名で構成される調査検証委員会による「調査報告書」の詳細は以下のとおりです。
関連資料 ESG説明会
2024年9月30日にESG説明会を開催しました。同会において、意識行動改革に基づく再発防止に関する取り組みの進捗についてもお伝えしています。