再発防止に向けた取り組み(意識行動改革)
当社グループでは、東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会関連事案に関して、「dentsu Japan改革委員会」を設置しました。
「仕事への取り組み方を刷新することで、すべてのステークホルダーに対する責任を果たす」ことを目的に、意識行動改革を実施し、再発防止に関する方針を策定し、様々な取り組みを推進しています。
dentsu Japan改革委員会メンバー
再発防止に関する方針
再発防止に向けた「意識行動改革」について
再発防止の具体策
再発防止の進捗
再発防止に関する関連ガイドライン
関連資料 調査検証委員会による報告書
関連資料 ESG説明会
関連ニュースリリース
dentsu Japan改革委員会メンバー
メンバーは以下のとおりです。
メンバー | 役割 | |
---|---|---|
委員長 | 株式会社電通グループ 代表執行役 社長 グローバルCEO 五十嵐 博 | 統括・取締役会への説明 |
副委員長 | 株式会社電通グループ 代表執行役 副社長 グローバル・チーフ・ガバナンス・オフィサー 兼 グローバルCFO 曽我 有信 | 委員長補佐・推進サポート |
委員(社外) | 弁護士 伊丹 俊彦 | アドバイザリー |
委員(社外) | 弁護士 吉野 弦太 | アドバイザリー |
委員(社外) | 弁護士 大東 泰雄 | アドバイザリー |
委員 | 株式会社電通グループ グローバル・コーポレート・セクレタリー 兼 デピュティ・グローバル・ゼネラル・カウンセル 永江 禎 | 推進サポート |
リーダー | dentsu Japan CEO 佐野 傑 | 施策起案・進捗報告 |
リーダー/事務局長 | dentsu Japan COO 綿引 義昌 | 施策起案・進捗報告 事務局業務 |
(2024年1月1日時点)
社内メンバーに加えて、社外弁護士3名にアドバイザーとして参画頂いています。
調査検証委員会の委員であった伊丹氏には、改革の実効性と一貫性の観点でも、改革委員会へのアドバイスを頂いています。
本委員会で議論した内容は定期的に取締役会へ報告しています。
再発防止に関する方針
意識行動改革に基づく、再発防⽌に関する方針は下記の通りです。
①公正な取引を担保する業務プロセスを見直すとともに、本事案の起点となったスポーツ領域やパブリック業務のガイドライン(スポーツビジネスガイドライン、パブリック業務ガイドライン)の策定・改訂や、出向先組織との利益相反を防ぐ情報管理措置の導入など、過去事案の分析から得たナレッジを事業運営に反映する仕組みを構築します。
②既に制定済みのポリシーや社内報告体制を再点検し、内部統制の実効性の向上を図ります。特に各組織単位で案件毎のコンプライアンス推進を図るための幹部会議体やガバナンス担当者の設置など、チェックとモニタリングの機能を強化します。
③経営者から実務担当者まで、改めて全社でコンプライアンス教育を実施し、意識の向上を図るとともに、独占禁止法対応の研修の実施、相談窓口の設置に加え、dentsu Japan内のコンプライアンス担当組織の明確化を通して、内容の充実化と取り組みの継続性を担保します。
④正しい企業風土の規定と実現に向け、電通グループ行動憲章の周知徹底を行うとともに、企業風土の醸成に向け、全社を挙げて活動を強化します。また、ガバナンスが適切に機能するように、人事制度も見直します。
再発防止に向けた「意識行動改革」について
●方針:社会に対する責任意識と透明性を高め、守るべきルールやプロセスを明確化する
●対策の柱/目指す姿:
①正しい企業活動を徹底する組織風土の定着
◇目指す姿
- インテグリティが最優先される組織風土の定着
- 失敗から学ぶ姿勢の共有
- 経営陣のリードによる組織風土づくり
- 目指す組織風土を体現するための人事制度の確立
②リスク管理システムと法務・コンプライアンス機能の強化
◇目指す姿
- 内部通報の適切な管理と、違反の予兆を見逃さない仕組みの定着
- 各種研修の体系化および全経営陣と従業員の履修
- 管理職への昇格条件に、コーポレート業務の経験や理解を追加
③公正・透明な取引を実現する業務プロセスの導入
◇目指す姿
- 各業務の遂行における、社会的責任を果たしながら様々なリスクを最小化するプロセスの明確化
- 専門チームによる業務遂行モニタリングの実施
●進捗を図るKGI・KPI:
改革の進捗を測るべく、3つのKGI(Key Goal Indicator)を設定しています。
組織風土の改善など、定量化が難しい項目もあり、社外の視点も交えて総合的に判断していきます。
KGIの1つ目は従業員の改革に対する評価です。達成度を定期的に従業員調査でトラッキングします。2つ目はモニタリング評価です。3名の社外委員の方に、取り組みを総合的に判断頂きます。3つ目はアウター評価です。取引先や生活者調査から、当社に対する見方を改善することをKGIとします。
また施策の進捗を測るKPI(Key Performance Indicator)として、17施策の進捗、従業員調査の詳細、内部通報件数の推移など具体的な指標もトラッキングしていきます。
再発防止の具体策
①正しい企業活動を徹底する組織風土の定着
- 電通グループ行動憲章の再周知
- dentsu Japanチーフ・カルチャー・オフィサーによる更なるコミットメントと組織風土改革の取り組み
- 正しい企業活動を議論する経営陣と従業員の対話の推進
- 本事案に関与した者に対する厳正な処分の実施
- 人事制度のさらなる適正化・改訂
- リーダー人財要件の明確化と昇格・評価への反映
②リスク管理システムと法務・コンプライアンス機能の強化
- 内部通報プロセスの改善・新プラットフォームの導入
- コンプライアンス領域の体系化とコンプラインス施策の更なる充実
- 法務・コンプライアンス組織の拡充
- 内部監査によるモニタリング機能の強化
- dentsu Japanリスク委員会における機動的なリスク管理の実施
- 業務遂行を担う各組織にコンプライアンス・マネージャー(仮称)を設置
- 懲戒制度を通じた企業秩序の回復についての更なる検討
③公正・透明な取引を実現する業務プロセスの導入
- 外部アドバイザー(専門家)の擁立
- ビジネスガイドライン(パブリック業務ガイドライン、スポーツビジネスガイドライン、不正入札等防止ガイドライン)の整備・運用
- 出向元と出向先が利益相反の関係性にある場合における出向ルールの整備・運用
- 取引管理(調達/購買)専任者の設置
再発防止の進捗
意識行動改革の各施策の進捗は以下のとおりです。
(2024年12月18日時点)
「内部通報プロセスの改善・新プラットフォームの導入」施策
- グローバルで共通のプラットフォーム Speak Up@dentsuの導入が完了し、社外の方もご利用いただける窓口もご用意しています。なお、Speak Up@dentsu導入後の4ヶ月間において、dentsu Japan では2023年度15件の相談がありました。引き続き、窓口の存在や重要性を周知し、相談しやすい環境整備を進めていきます。
「ビジネスガイドラインの整備・運用」施策
- 各種ガイドラインの整備を完了しています(スポーツビジネスに関するガイドライン、パブリック業務ビジネスに関する基本方針とガイドライン、不正入札等防止ガイドライン)。なお、スポーツビジネスガイドラインに関する相談は2023年度 193件、パブリック業務ガイドラインに関する相談件数は2023年度 365件、不正入札等防止ガイドラインの相談は2023年度 19件となっています。
従業員調査(第1回 2023年11月、第2回 2024年2月、第3回 2024年5月)
2023年11月にdentsu Japan 全従業員を対象にした調査を行い、続いて2024年2月及び5月に、約5000人を対象としたサンプル調査による従業員調査を実施しました。
これまでの調査結果は以下のとおりです。
- 意識行動改革の認知・理解をはじめ、1回目から3回目にかけて全体的に各スコアが着実に上昇
- 特に上昇幅が大きかったのは「インテグリティへの言及」(認知、理解 )「インテグリティの具体的理解」の項目
- インテグリティを最優先に日々業務に取り組むにあたり、迷いを生じさせないためのさらなるサポート強化が必要
- 相談体制の認知・理解のスコアは伸び悩み、周知の方法・回数の改善が課題
社外委員による意識行動改革のモニタリング評価は以下のとおりです。(2024年12月10日時点)
●伊丹 委員
シェアリングミーティングなどにより、インテグリティを最優先に業務を行うことの具体的な理解が進むなど、組織風土が変わりつつあることを感じさせる。他方で、1年前のdJ意識行動改革調査と比較すると、「ビジネス上の成果や利益を出すことの方が重要と思う」との指標は、やや悪化し、「インテグリティと成果を両立できると思う」との指標などは、ほぼ横ばいの状況である。社員の中には、頭ではインテグリティ優先の業務遂行の必要性を理解しながらも、現実には、利益や成果を重視する気持ちがいまだに根強く残り、意識行動変容に至っていない人たちがいる。今後とも、業務過程におけるサポートなどを通じて、インテグリティ優先の思想の浸透に努める必要がある。
●吉野 委員
外部専門家から指摘された問題点を真摯に受け止め、多くの施策を精力的に取り組んできたと評価できます。これら施策の中には、新制度の導入や制度改革も含まれていますが、形ばかりの仕組みにならないよう検証を繰り返し、再発防止としての実効性確保を心掛けてください。
●大東 委員
dJ意識行動改革調査の結果、インテグリティの重要性に対する理解が相当程度浸透していることが窺える点は高く評価できる。一方で、インテグリティと業績の両立に悩む現場の様子が浮き彫りになっているため、全体向けのアンケートに加え、的を絞った具体的なアンケートやヒアリング等により、現場の悩みを具体的に把握し、解決していくための取組みを継続いただきたい。
再発防止に関する関連ガイドライン
関連資料 調査検証委員会による報告書
外部有識者3名で構成される調査検証委員会による「調査報告書」の詳細は以下のとおりです。
関連資料 ESG説明会
2024年9月30日にESG説明会を開催しました。同会において、意識行動改革に基づく再発防止に関する取り組みの進捗についてもお伝えしています。