調査検証委員会による調査報告書

当社取締役会は、外部有識者3名で構成される調査検証委員会(正式名称:東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会関連事案に関する外部有識者による調査検証委員会)から特別委員会を通して「東京2020 オリンピック・パラリンピック関連事案に関する調査検証報告書」を受領しました。

調査報告書の内容および提言要旨

≪報告内容≫

本事案の問題点は下記の3つ

(1) 過剰なまでに“クライアント・ファースト”を偏重する組織風土

  • dentsuはこれまで、クライアントの懐に飛び込み、クライアントが気付いてすらいない真意をも汲み取って、その期待を上回る成果を上げ続け、クライアントとの強い信頼関係を構築することを通じて、広告業界における現在の地位を築き上げてきた。このような仕事に対する積極的な姿勢は、dentsuの競争力の源泉となってきた一方で、ともすると、結果が全てを正当化するような思考に陥りがちであり、仕事に携わる者の視野を狭め、あるいは近視眼的になってしまうリスクを内包している。問題の根底には、このようなリスクへの配慮が疎かになる、いわば過剰なまでに“クライアント・ファースト”を偏重ともいうべき組織の姿勢ないし企業風土があったのではないかと考えられる。

(2) コンプライアンスリスクに対する感度の鈍さ

  • 上記(1)の問題と表裏一体の問題として、本事案に関与した者はもちろん、経営陣も含め、コンプライアンスリスクに対する感度が鈍かったことが指摘できる。こうした感度の鈍さは、本事案と同時期又は近接した時期において生じていた他社の問題を自社にも妥当し得る問題として捉えられなかったことに加え、自社で起こっている問題さえ、他人事のように捉え自分事として捉えることができていなかった点にも表れている。

(3) 手続の公正性・透明性への配慮を著しく欠いていたこと

  • 上記(1)の問題と表裏一体の問題として、手続の公正性・透明性への配慮を著しく欠いていたことが指摘できる。このことは、①組織委員会への出向に伴う利益相反の観点からのリスクを適切に管理するための措置(情報交換制限措置等)がとられていなかったこと、②組織委員会が時期の経過とともに公共機関としての性格を強めても、それに伴うリスクの変化について再検討がなされなかったこと、③テストイベント計画立案業務の委託先の選定が総合評価方式の競争入札によって行われることが決定された後も、委託先の選定方法が変わったことに伴うリスクの変化について再検討がなされなかったことにも表れている。

≪提言要旨≫

①経営陣の強いコミットメントに基づく意識改革

  • 企業理念・行動指針のアップデート
  • “クライアント・ファースト”や“成功”といった概念の再定義
  • 経営陣の継続的なコミットメント:発信と行動の整合性確保
  • 経営監督機能の実効性の確保
  • 再発防止策等の実効性・透明性の確保(モニタリング及びステークホルダー・外部有識者との対話の場等)

②リスク管理システムの強化

  • 持株会社化を踏まえたリスク管理システムの検証・強化
  • プロジェクトベースのリスク管理制度の導入
  • モニタリング機能の強化
  • 出向制度の改革と情報遮断措置
  • 失敗体験に基づく教訓の組織的学習

③時代の要請を踏まえた法務・コンプライアンス機能の強化

  • 法務・コンプライアンス部門のリソース・権限の強化
  • 社内規程・業務手続の整備
  • 教育・研修制度の強化

④インセンティブを意識した人事制度の見直し

  • インセンティブを意識した人事制度全般の検証・見直し
  • 本事案に関与した者に対する人事処分の検討
  • 人材の多様性と流動性の確保

調査報告書 全文

2023年6月9日 東京2020 オリンピック・パラリンピック関連事案に関する調査検証報告書(700KB)

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