人権
私たちのコミットメント
クライアント、従業員、パートナー、および社会に対して電通グループの企業価値を示していくためには、人権尊重への強固なコミットメントを維持し、関連するすべての法規制を厳守することが不可欠です。これら法規制は、当社が事業を持続させるにあたっても重要であり、グループへの評価や企業価値を損なう可能性のある業務上の障壁やリスクを軽減することにも繋がります。
ガバナンス
人権尊重は、当社グループが目指す社会の実現に向けた、PURPOSE、Vision、そして価値創造の基盤です。人権関連法規の遵守、強固なリスク管理、事業継続の確保に関する取り組みは当社グループのグローバル・チーフ・ガバナンス・オフィサー(GCGO)が統括しています。人権の影響に関する実務上の管理は、人権担当責任者が対応し、人権リスクと機会を特定・管理するための内部ネットワークを構築し、関連部門と緊密に連携しています。これには、オンラインセッションや機能/業務別のワークショップ、グループ内での相談体制など様々な研修コンテンツが含まれます。
人権は、年4回開催で経営層から成るグループサステナビリティ委員会での常設議題でもなっています。これにより、当社グループは事業展開するすべての地域において、人権的な影響を管理するための必要なシステムを整備していることになります。
日本固有の課題は、電通グループ人権委員会とdentsu Japan人権教育会議で対応しています。
(具体的な取り組みの詳細は、こちらをご覧ください。)
人権については、機能別のワーキンググループ:法務&コンプライアンス・ワーキンググループ、サステナブル調達ワーキンググループ、そしてポリシーワーキンググループでも取り扱っています。
人権ポリシー
「私たちは、人権に関する国際社会の基本原則を守り、自らまたは取引先の事業において、これらの権利に反するいかなる取り扱いも容認しません。」 (電通グループ行動憲章)
当社のグループ行動憲章、サプライヤー行動規範、および独立した人権ポリシーは、国際的に認められたすべての人権の枠組みと原則を尊重し、すべての従業員とサプライヤーに対して適用される、という当社のコミットメントを定めています。
人権ポリシーは、部門横断的な連携や外部有識者との協議を経て策定され、グループ・マネジメント・ボード(GMB)で承認されています。運用上の変更を反映するために定期的に見直され、法令遵守の状況は都度確認されます。
これは、人権影響評価(HRSA: Human Rights Saliency Assessment)によって特定された、最も顕著な人権への影響を軽減するための当社のコミットメントをまとめたものです。(HRSAの詳細については、「影響とリスク」の項目を参照)
また、人事ポリシー、サプライヤー行動規範、グローバルデータ保護原則、フィジカルセキュリティポリシーなど、特定の人権への影響に関する具体的な各々のポリシーによって補完されています。
人権ポリシーは、オンライン研修ビデオなどを通じて社内に周知され、こちらで公開されています。
すべての従業員、サプライヤー、および外部のステークホルダーは、外部期間が運営する無料・匿名・機密のSpeak Up @dentsu ポータルサイトを通じて、人権に関する通報・相談をすることが可能です。
影響とリスク
当社グループは、以下の取り組みを通じて、人権に関するグローバルおよび各マーケットレベルのリスクを積極的に特定し、追跡します。
- 社会、環境、安全衛生に関わる事案発生時の早急なリアルタイムでのSMSアラート
- 公開情報を活用した、各マーケットにおけるリスク項目に対する半年ごとの評価
- 従業員意識調査の毎年の実施
当社グループは、専任の事業継続チームと危機管理対応プログラムを擁し、紛争や自然災害の影響を受けた地域での事業活動や出張の際の従業員の身体的安全と健康の確保をサポートしています。
リスクスクリーニングは、グローバル機能のサプライヤーにも拡大し、場所、製品カテゴリー、アンケートの回答に基づいてリスクプロファイルを評価します。
当社グループは、ステークホルダーとの連携を通じて、当社にとって重要なリスクを特定し検証することにコミットしています。これには、外部の人権専門家との連携も含まれます。また、従業員と消費者の懸念に関する情報を収集するため、定期的な調査を実施しています。
継続的なリスク確認をするために、2024年グローバルな人権影響評価 (HRSA: Human Rights Saliency Assessment)を実施する外部機関に依頼し、当社の顕著な人権への影響を特定および評価を実施しました。これには、社内外のステークホルダーへのインタビューや、従業員や消費者への調査結果を通じて、影響を受けるステークホルダーのエンゲージメントを組み込んだものが含まれます。HRSAは、サプライチェーンを含むグローバルオペレーションのあらゆる側面をカバーしています。
当社が最も重要視する人権問題は以下の通りです。
重要課題 | コミットメント |
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平等と無差別の原則 |
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信仰、表現の自由と、情報へのアクセスの自由 |
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労働上の権利とハラスメント |
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業務上のプライバシー・個人情報の保護 |
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子どもの権利 |
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現在・将来世代のための健康的な環境 |
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リスクの低減とデュー・ディリジェンス
当社グループでは、事業とサプライチェーン全体を通じて人権デュー・ディリジェンスを実施し、リスクの特定、予防、軽減、及び潜在的な影響の低減を図っています。私たちのアプローチは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿ったもので、リスク評価、方針のコミットメント(グループ人権方針だけでなく、特定の人権への影響に関するその他の方針も含む)、ガバナンスと経営陣のスポンサーシップ、研修、遵守状況を監視・追跡するための内部統制を含みます。
当社グループの人権担当責任者は、グローバル部門(人事、法務・コンプライアンス、調達、広報、Brand Assuranceなど)および各実践チームと緊密に連携し、当社が直面する主要なリスクごとに、既存の管理手法やポリシーに人権配慮を組み込むための取り組みを推進しています。
主な対応:
プライバシーとデータセキュリティ
電通グループグローバルデータ保護原則は、電通グループが世界中のどこで事業を行うかにかかわらず、
個人データ処理において、「世の中の幸福に貢献すること」とは何かを理解する際の指針となるものです。この原則は、全世界の電通事業における個人データの収集、利用、取り扱いを規定する方針、基準、行動を支えるものです。この原則は、当社グループの社員に関するデータなど、事業を運営するために使用する個人データにも、サービスを提供する際にクライアントのために処理するデータにも適用されます。
私たちの方針の遵守は、内部統制フレームワークを通じて追跡・監視されています。
救済措置
当社グループは、すべての社員および社外の利害関係者が人権に関する懸念を表明することを奨励しています。当社では、従業員が懸念や苦情を申し立てるためのさまざまな手段を提供しています。そのひとつが、社外が運営し、無料、匿名、機密で、すべての適切な言語で利用できるSpeak Up @dentsuポータルです。
電通グループのサプライヤー行動規範では、サプライヤー規範の違反を含め、当社グループとの関わりや不正行為に関する実際または潜在的な懸念や疑いを、「Speak Up @dentsu」ポータルを利用して通報することを求めています。
当社グループでは、従業員の不満や懸念、不適切な行為や不正行為を含むすべての職場に関する事項を管理するための明確な手順・手続きを文書化しています。例えば、職場でのハラスメントやいじめの場合、当社の市場は、当社の「人事ポリシー」(EMEA、AMER、APAC)および「ハラスメント防止・撲滅宣言」(日本)に定められた原則に従い、従業員が懸念を表明する方法と、当社がそれらの懸念に対応する方法を定めています。人事ポリシーは、各市場ごとの具体的なプロセスで補足されており、これらのプロセスは従業員ハンドブックに詳細に記載されています。
通報された懸念について徹底的な調査を行い、それが実証された場合には、適切な改善・是正措置を講じます。
従業員および派遣社員は、Speak Up @dentsuに関する情報を含め、行動規範に関する研修を毎年受けています。また、データ保護とプライバシー、倫理とコンプライアンス、ジェネレーティブAIの使用、ハラスメント防止など、特定の人権リスクに関する研修も毎年義務付けられています。
【2024年度~の個別対応課題】日本での芸能関係・性加害問題への対応について
2023年以降、当社のビジネスに関連の深いメディアおよび
タレント・芸能領域において、深刻な人権侵害の申し立てが確認されています。
当社グループは、その是正に向けた対応状況を注視するとともに、当社の行動憲章および人権方針に則り、お取引先様とのデュー・ディリジェンスを強化しています。