マネジメントメッセージ

代表取締役社長執行役員 曽我有信の写真

国内の強固な事業基盤と海外の高い成長力でデジタルへの対応を強化していきます

取締役 執行役員曽我 有信

引き続き経営の鍵となる「デジタル」

電通グループが直近の10年の重点課題として捉え、これからも経営の鍵となる分野は、「デジタル」です。

デジタル広告、およびデータ、CRMなどのデジタル・ソリューションは、当社グループにとって最大の成長分野です。当社は、クライアントのさらに大きな課題解決のためにこの分野を拡大させ、事業の転換を進めてきました。

海外事業は成長性の高いデジタル領域に焦点を当て収益拡大を図ってきた結果、売上総利益の60%をデジタル関連事業が生み出すまでに成長しました。国内においても2019年にデジタル関連事業の構成比は29%に達し、グループ全体の約半分がデジタル関連事業となっています。

売上総利益におけるデジタル領域構成比の推移

クライアントの成長パートナーとして進化し続ける国内事業

国内事業は約120年の歴史を有しており、創業当時からリーディングカンパニーとして高いマーケットシェアを維持してきました。広告市場世界第3位の日本で強固な事業基盤を有していることが、他のグローバルエージェンシーグループに対する当社グループのユニークネスです。

また、国内事業では、国内トップクラスの実力をもつ人材の専門知識を掛け合わせ、クライアントの課題に応じて柔軟かつ迅速に最適なチームを編成できる体制ができています。そのチームが革新的な統合ソリューションを提供し続けてきた結果、当社グループは多くのクライアントと強固な信頼関係を築くことができました。この信頼関係を基盤として、クライアントのデジタルトランスフォーメーションを支援し、国内事業の収益を持続的に成長させます。

国内事業の2019年売上総利益のオーガニック成長率は、マス4媒体の取引が減少する一方でデジタル領域やマーケティング・プロモーション領域が大幅に増加し、前年比+0.4%となりました。デジタル領域では、高い市場成長率に加え、VOYAGE GROUPと資本業務提携したことにより前年比+26.4%となり、大きく事業規模を拡大させました。

※ オーガニック成長率:為替やM&Aの影響を除いた内部成長率

また、第4四半期に開催されたラグビーワールドカップ日本大会は、日本全国でムーブメントを巻き起こし大成功を収めました。これは当社グループがリードする事業が日本社会に大きなインパクトを与えた好事例だと言えます。

2019年は、国内事業において収益の多様化が一段と進んだ年になりました。それは、当社グループがクライアントや社会のニーズを的確に捉え、多種多様なケイパビリティを統合し、新たな価値を提供してきた結果だと考えています。

国内広告市場におけるシェア

海外事業を3つの事業領域に集約

当社グループは海外において非常に速いペースで成長を続けており、海外の売上総利益はグループ全体の60%を占め、イージス社買収後7年間で約2倍に拡大しました。

しかし、2019年には5つの主要市場(オーストラリア、ブラジル、中国、フランス、英国)の業績不振を受け、売上総利益のオーガニック成長率は1.9%のマイナス成長となりました。この状況に対して、事業を成長軌道に戻すための構造改革を速やかに実施し、年間約130億円のコスト削減によりマージン改善を実現する計画です。

この改革では、海外事業全体をクリエイティブ、メディア、CRMというシンプルな3つの事業領域に集約しました。この新しい事業構造により、アイデア、データ、テクノロジーといったケイパビリティを進化させると同時に、クライアントが求める統合ソリューションを提供できると考えています。

オーガニック成長率を地域別で見ると、Americasが+2.4%で好調に推移し、特に米国で多くの重要なクライアントを獲得できました。EMEAでは0.7%のマイナス成長となったものの、域内の7つの市場でプラス成長を達成しました。APACでは中国とオーストラリアの低迷により12.3%のマイナス成長となりました。

また、2019年に当社グループが獲得したメディア新規ビジネスの純増額は43億ドルとなり、業界トップクラス の実績となりました。

3つの事業領域

直近3年間の売上総利益の年平均成長率
競合メガエージェンシーとの比較

オペレーティング・マージンの向上に向けて

2019年の連結オペレーティング・マージンは、前年と比べ140bps低下して15.0%となりました。利益率低下の要因は、海外事業におけるAPACの減収、国内事業における人材育成とITインフラ強化、そしてデジタル領域への先行投資などです。

オペレーティング・マージンの向上は、当社グループの重要課題のひとつと認識しています。海外事業では新任のCOOがマージン改善に向けた改革を推進し、国内事業ではコストコントロール意識を高め、マージン改善のための経営努力を続けていきます。

M&Aを活用したサービスの進化

当社グループは、これまで積極的にM&Aを活用し、グローバルで事業規模を拡大するだけでなく、高い専門性を持った人材を獲得し、クライアントへのサービスを常に進化させてきました。

2019年は13件のM&Aを実行しました。その中のひとつ、データアナリティクス領域におけるオフショアサービスを提供する「Ugam」は、CRMの中核ブランドであるMerkleグループに加わり、Merkleの競争力をさらに強化させる計画です。そしてDTCマーケティングエージェンシー「MuteSix」は、iProspectグループに加わり、DTC顧客基盤の拡大とソーシャルコンテンツサービス機能の強化を担います。

※ DTC:Direct-to-Consumer:消費者直販

海外事業におけるM&A件数の推移

データがもたらすパラダイムシフトへの対応

データマーケティングは、大量かつ多様なデータを分析・活用することによって、マーケティング活動を最適化します。これは、業界のビジネスモデルを根底から変える可能性を持っています。

当社グループにおいて、データマーケティングの中核的なソリューションを提供しているブランドが、Merkleです。Merkleは、マーケティング・バリューチェーンの幅広い領域を統合的にカバーするソリューションを提供しており、クライアントから高い評価を受けています。2016年に当社グループがMerkleの株式の過半数を取得して以降、同社は急成長を続け、現在では海外事業の売上総利益の約25%にまで成長しました。

当社グループはデータソリューションをグローバルで提供する体制を前倒しで整備するために、2020年4月にMerkleの100% 子会社化を実行しました。この結果、2020年度の当社グループのEPSは数%向上し、Merkleの統合を早期に実現します。

全ては強固な財務基盤から

“afterデジタル、AI時代、afterコロナ”など、ますます不確実性が高まる世界において、当社グループが果たすべき役割は非常に大きいと考えています。クライアントや社会全体の変革をリードするためには、当社グループ自らが、かつてないスピードで意思決定し、変革し続ける必要があります。このためには、強い財務基盤が必要です。投資によって競争力を強化し、それが新たなキャッシュを生み出し、健全な財務を維持できる──この好循環を続けることによって、持続的な成長が実現できると考えています。

現在、電通グループは高いキャッシュ創出力と強いバランスシートが評価されて高い格付(AA-:R&I)を取得しており資金調達力で優位なポジションにあります。

格付情報

当社は格付機関から以下の格付を取得しています。

格付の詳細については下記の格付機関のホームページをご覧下さい。
格付投資情報センター(R&I)
https//www.r-i.co.jp/index.html

総合的な株主への利益還元の実現

当社グループの経営において、投資は成長のための重要な手段であり、資金配分の最優先事項です。株主様をはじめとしたステークホルダーの皆様には、当社グループの持続的な企業価値の向上こそが最大のリターンになると考えております。

また、成長への投資だけでなく、積極的に株主還元に取り組むことが当社グループへの信頼と期待につながっていくと考えています。2019年には、約300億円の自社株買いを実施しました。今後も、継続的かつ安定的な配当と機動的な自己株式の取得を組み合わせ、総合的な株主還元を図っていきます。

また、バランスシートが生み出す利益を最大化させること、株主様の期待リターンを上回ることは、CFOの重要なミッションであると強く意識しております。

一株当たりの配当金額の推移

これからも、ステークホルダーの皆様の期待に応えられるよう、最大限の経営努力を続けてまいります。

閉じる

このウェブサイトではサイトの利便性の向上を目的にクッキーを使用します。ブラウザの設定によりクッキーの機能を変更することもできます。詳細はクッキーポリシーをご覧ください。サイトを閲覧いただく際には、クッキーの使用に同意いただく必要があります。