電通グループ、パナソニックHDとWeb3.0技術を活用し社会貢献行動を促進するトレーサビリティ基盤開発プロジェクトを発表
2024.05.30
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― 社会課題を選定する大学生とシニア層を中心とした寄付者による世代横断型の実証実験を開始 ―
株式会社電通グループ(本社:東京都港区、代表執行役 社長 グローバルCEO:五十嵐 博、以下「当社」)のR&D組織「電通イノベーションイニシアティブ※1」(以下「DII」)は、パナソニックホールディングス株式会社(本社:大阪府門真市、代表取締役社長執行役員グループCEO:楠見 雄規、以下「パナソニックHD」)、ならびに当社の共同研究先各社※2と共同で、環境課題や人権課題などに対する社会貢献行動を促進するブロックチェーン技術※3を活用した基盤開発のプロジェクトを始動します。
具体的には、日本の大学生が被支援者と寄付者を繋ぐ役割を担い(ファンドレイザー※4)、日本のシニア層を中心とする投資家が彼らを金銭的に支援する基盤を構築します。この基盤は、寄附金の使用用途や成果について検証が可能となる厳格なトレーサビリティを確保するとともに、学生の社会貢献活動の達成状況を示すトークンにより非地位財(お金で購入できない財の意)※5領域の与信評価を得ることができます。さらに、ブロックチェーン技術を活用することで、トランザクション処理における管理間接コストの最小化を実現します。
本プロジェクトには、ふるさと納税制度の普及や遺贈寄付の増加など、金銭的な支援を通じた社会課題に対して個人が取り組みやすくなっている背景があります。一方で、金銭のみでない社会貢献活動に参画した学生一人ひとりの実績を評価する仕組みの構築が課題となっていました。
このトレーサビリティ基盤を用いて、ファンドレイザーである学生・被支援者・投資家の三者はチャネル上で日々の交流が可能になります。さらに、学生は非営利セクターでの活動実績を非地位財として就職活動などに活用できる与信認定を獲得し、シニア層を中心とした投資家はこれまでの金銭による直接的支援では成立困難であった他の支援者との交流機会や、若年世代との情緒的なつながりを構築することが可能です。当社と共同研究各社は本実証を通じて非地位財経済圏向け与信提供サービス(トレーサビリティ基盤)の市場性について検証し、持続可能な社会貢献コミュニティの実現に資する機能実装を進めます。
本取り組みにおいて、当社はトークン解析に関する知見を提供するとともに、ODKソリューションズらと近畿大学の学生を対象に取り組みを進めている「アプデミー」の実証実験※6で得られた実績証明トークンを用いて当人のアイデンティティ解析を行うシステムの設計実装に関する知見を提供します。パナソニックHD は、環境を含めた社会貢献⾏動のレベル設計や⽣活者個⼈や社会全体のこうした⾏動の可視化の知⾒を提供し、トレーサビリティ基盤を通じて、一人ひとりのくらしに寄り添い、ウェルビーイングなくらしと他者・社会・地球環境への貢献を両立していく事を目指します。
また、当社と共同研究各社は当実験結果を基に、非地位財領域での活動実績情報をメタデータとしてブロックチェーン上での展開時の手続きの標準化に取り組みます。さらに、加盟するCCC(Climate Chain Coalition)※7にて将来の脱炭素実績証明ユースケースとしての提案や、一般社団法人ブロックチェーン推進協会のID・トレーサビリティ部会などでの検証結果の公開などを予定しています※8。
<本プロジェクトの想定フロー:インドの教育格差課題への取り組みの場合>
環境課題や人権課題など本プロジェクトにて扱う社会課題リストを株式会社ファンドレックスの協力を得て作成し、Table Unstable DAO合同会社やアプデミーに参画する日本の大学生がファンドレイザーとなり課題の優先順位を決定、それぞれが寄付ポートフォリオ(必要な寄付の詳細)を作成します。投資家は、学生ファンドレイザーの寄付ポートフォリオや発信内容を参照し、自身の支援先を選定します。
一例として、インドの教育格差課題への取り組みでは下図のような流れを想定しています。寄付金は高等教育機関受験料や学費のほか、学用品や下宿先の手配費用など相当額が貯まるまで金融機関に供託され、被支援者が受験する段階や、入試に合格し入学手続きに進めるようになった段階など、局面に応じて金融機関から現地機関に対してトークン認証技術※9を用いた正当性の確認プロセスを経て支払われます。従来の寄付と異なり、寄付者は自身の寄付金がどの学生の支援にどのように活用されたかまで追うことが可能です。
電通グループは、経済的価値と同時に社会的価値も生み出すB2B2S(Business to Business to Society)企業として、顧客企業との協業を通じて社会課題をともに解決することで、人が生きる喜びに満ちた活力ある社会の実現に向けて取り組んでいきます。
※1:DIIは、電通グループ全体のR&Dを推進する当社内組織です。また、株式会社電通、株式会社電通総研、株式会社セプテーニ・インキュベートの3社との共同で、Web3領域における新しいビジネスの研究および実践を行うグループ横断組織「web3 club™(ウェブスリークラブ)」を組成しています。「web3 club™」発足の詳細は以下リリースをご覧ください。
URL:https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/000804.html
※2:シビラ株式会社、Onplanetz株式会社、ODKソリューションズ株式会社、ソニー株式会社,株式会社ファンドレックス、Table Unstable DAO合同会社、EMIELD株式会社、株式会社フォルテッシモ、大阪公立大学イノベーティブシティ大阪ラボ、放送大学。なお、本取り組みにおいて当社はClimate Chain Coalition、Meta Carbon、Save the Children、Katalystらの社会課題解決に取り組む国際的な組織の協力を得て途上国や熱帯雨林などの現地オペレーションを推進予定です。さらに、地方紙、ラジオ局らがメディアパートナーとして参画し、学生ファンドレイザーの非地位財の可視化を目的としたアワードの開催などに共同で取り組む予定です。
※3:ブロックチェーン技術とは、世界中に点在するノード(通信ネットワーク上に存在する端末や交換機)に同一の記録を同期させる分散型ネットワーク技術のことです。プログラムや情報の破壊、改ざんが困難なネットワークを構築し、データや権利情報を複数の事業体で共有し、共同で管理することに適しています。
※4:主に民間非営利団体での資金調達を専門に行う職業のこと。本取り組みにおいては「社会のために何か役に立ちたいと思っている人たち」と「社会の課題を解決している人たち」をつなぐことにあり、pay forward(未来へ贈る)という考えのもとでふるさとや社会に恩返しをしたい、次の時代を担う人たちや社会に貢献したい寄付者と寄付先との橋渡しを行うコミュニケーターとしての役割も担います。また課題の性質によっては非支援者と寄付者とのコミュニケーションを担うことも想定しています。
※5:「非地位財」とは、健康や環境による幸せに加えて、愛情ややりがい、自由など、お金では買うことができない財を指します。
※6:アプデミーの実証実験についての詳細は以下リリースをご覧ください。
URL:https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/000894.html
※7:CCCの詳細については下記ウェブサイトをご覧ください。
URL:https://climatechaincoalition.org/ (英語のみ)
※8:当実証実験では、当社が加盟するBCCC(ブロックチェーン推進協会)のID・トレーサビリティ部会を中心としたメンバーでアプリケーションを設計、パナソニックが脱炭素量計算などの数理モデルの取扱いに関する知見を提供し、当社はトークンエコノミー設計に関する知見を提供します。
※9:当実証実験では、非支援者の秘密鍵情報に基づくアドレスにNFTを含むトークンが帰属することを都度検証・承認するトークン認証プロセスを必須とし、それによりトランザクション実行時の厳格な権限管理と管理間接コストの最小化を実現します。同プロセスにはシビラ社のトークン認証技術(特許第7412725号)およびメタトランザクション技術(特許第6915934号)を採用します。
以 上
【本R&D活動に関する問い合わせ先】
株式会社電通グループ 電通イノベーションイニシアティブ 鈴木
URL: https://innovation.dentsu.com/
Email: innovation-initiative@dentsu.co.jp
【リリースに関する問い合わせ先】
株式会社電通グループ グループコーポレートコミュニケーションオフィス 小嶋、島津
Email:group-cc@dentsu-group.com