電通グループ、Web3.0研究成果を仏国際ビエンナーレ「Bains numériques」にて発表

― 視聴者のアイデンティティ情報が再生コンテンツに反映されるARアプリなどを稼働展示 ―

株式会社電通グループ(本社:東京都港区、代表執行役 社長 グローバルCEO:五十嵐 博、以下「当社」)のR&D組織「電通イノベーションイニシアティブ※1」(以下「DII」)は、未来開発ユニット「AR三兄弟」の長男として数々のクリエイションを手がけるAR開発者の川田十夢氏、およびWeb3.0ウォレットサービス「unWallet(アンウォレット)」を提供するシビラ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役:藤井 隆嗣、以下「シビラ」)との共同で、NFTを活用することでデジタル空間における個人のアイデンティティ情報を実空間での与信として活用できる環境設計の研究成果について、第11回デジタルアート国際ビエンナーレ「Bains numériques」※2にて発表します。

DIIはこれまで、デジタル空間において形成されるアイデンティティ情報を実空間で利用するための研究「AR Identity」※3を通して、実空間での個人の行動の幅を広げ、コミュニケーションの機会を創出する可能性について検討を重ねてきました。その成果の一部として、朝日放送テレビ株式会社らと共同実施した実空間型のトークン認証ペアリング技術「ghost Link」※4など、実空間でのトークン利活用動線を簡便化する技術知見を得ることができました。またこれに加え、Web3.0ウォレットに蓄積されたトークンを総体として解析することでウォレット保有者のアイデンティティをAIが理解し、デジタル空間における人権に配慮しながらコンテンツやサービスの最適化を可能にする未来の「自己主権型アバター・エージェント」の可能性についても検証※5を経て技術知見を得ることができました。

当社と川田氏、およびシビラは共同で、同構想がもたらす未来の情報環境について世界に発信すべく、人権に関する注意義務を企業に求める法律の成立※6など、人権意識の高さで知られるフランスで本日開幕する国際ビエンナーレ「Bains numériques」にて、二つのインスタレーション作品を発表します。

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<インスタレーション1:AR Identity作品概要>
本作品は、ARアプリ操作者のアイデンティティに応じて現実空間に重畳されるARコンテンツが変化する体験型のインスタレーションです。
異国を訪れた旅行者は、それぞれが生まれ育った土地の歴史的・文化的背景を伴って当地の風土を捉えているのではないか。たとえ同じ景色を見ていても、人によって興味関心の対象は異なるため、その対象の捉え方には当人の人となり(アイデンティティ)も影響を与えている可能性があると考えられるのではないか。本作では、そのような仮説のもと、インスタレーション体験者を「Bains numériques」開催地であるEnghien-les-Bains(アンギャンレバン市)を訪れた旅行者に見立て、当人が目を向けている対象物をリアルタイム解析するとともに、個々のWeb3.0ウォレットに格納されているNFT群から当人の文化背景やアイデンティティを導出することで、それぞれのARアプリのコンテンツ表現を動的に変化させます。

<インスタレーション2:Crypt Cubism作品概要>
本作品は、Web3.0ウォレットがAIエージェントになる、近未来の「自己主権型アバター・エージェント」の可能性について、近畿大学にて行った実証実験の関係者たちの視点と未来考察を収めたビデオグラフィです。
近年、ウォレットの利用目的は財物の所有や譲渡といった実務的手段としてだけでなく、自身のアイデンティティを他者へ知らしめ、相補的共感をはかる手段としても用いられるようになってきました。私たちはこの動きを暗号資産の資産性(モノ)から、作家性(ヒト)への興味関心の転換と捉え、かつて美術史において「(作品を)見る」ことから「(作家を)知る」ことへと視座転移が生じたキュビスムの登場とも符号する時代の変化点と捉えています。また、ウェブ空間におけるUIの変遷として、一人ひとりが人間に近いアバターUIを持つパーソナル・エージェント時代の到来を予見し、この作品ではデジタル空間におけるコンテンツが、自己主権のもと人権が保障されつつ、人間に近いエージェントとの自然なインタラクションによって最適化される未来を展望します。

また、当社は川田氏およびシビラとともに、これらインスタレーション作品の発表を通じて自己主権型の情報環境であるWeb3.0技術が、従来の人権概念をデジタル空間へと拡張させていくことの可能性について、「Bains numériques」関連プログラムとして予定されている有識者とのラウンド・テーブル「デジタル時代の創造に関するシンポジウム」において討論する予定です。展示インスタレーションに対する体験者の反応やラウンド・テーブルでの討論内容について後日公開を予定しています。

※1:DIIは、電通グループ全体のR&Dを推進する当社内組織です。また、株式会社電通、株式会社電通総研、株式会社セプテーニ・インキュベートの3社との共同で、Web3領域における新しいビジネスの研究および実践を行うグループ横断組織「web3 club™(ウェブスリークラブ)」を組成しています。「web3 club™」発足の詳細は以下リリースをご覧ください。
URL:https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/000804.html 

※2:Bains numériquesは仏CDA(Centre des arts)主催、ユネスコおよびEnghien-les-Bains(アンギャンレバン市)他の共催で芸術的インスタレーション、パフォーマンス、展覧会、そしてデジタル時代の創造に関するシンポジウムにて構成されるデジタルアート国際ビエンナーレです。第11回となる今年はパリ五輪の開催年と重なったことからカルチュラル・オリンピアード(文化オリンピック)の文脈とデジタル技術の発展というコンセプトを掲げ、6月12日から15日まで、4日間にわたり開催されます。
URL:https://www.bainsnumeriques.fr/ (英語・仏語のみ)

※3:AR Identityの詳細は以下リリースをご覧ください。
■川田十夢氏らと共同で、実空間でのNFT利活用動線に関する研究「AR Identity」を開始
URL:https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/000845.html 

※4:ghost Linkの詳細は以下リリースをご覧ください。
■ドラマコンテンツの二次創作を可能とするNFT利活用スキーム「ghost Link」実証実験
URL:https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/000938.html 

※5:アバター・エージェントに関する研究の詳細は以下リリースをご覧ください。
■Web3.0ウォレットにフォトリアルアバターをUIとして適用する世界初の実証実験
URL:https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/001078.html

※6:フランスはかねてより世界の人権議論において主導的役割を果たしてきました。「人間は生まれながらにして自由平等であり、その権利は国家などから与えられたり、奪われたりするものではない」という考え方に根ざした人権概念が一般にひろく受け入れられており、2008年には人権に関する全国諮問委員会(CNCDH)などの報告書において、経済のグローバル化に伴う新しい社会的および環境的課題を分析することで人権分野において企業が担うべき責任を明確化し、2017年には人権に関する注意義務を企業に求める「親会社および発注会社の注意義務に関する法律」が成立しました。本年のBains numériquesではデジタル空間における人権について議論が交わされる予定です。

以 上

【本R&D活動に関する問い合わせ先】
株式会社電通グループ 電通イノベーションイニシアティブ 鈴木
URL:https://innovation.dentsu.com/
Email:innovation-initiative@dentsu.co.jp

【リリースに関する問い合わせ先】
株式会社電通グループ グループコーポレートコミュニケーションオフィス 小嶋、杉浦
Email:group-cc@dentsu-group.com

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