2021年度第3四半期連結決算(IFRS)に関するお知らせ

株式会社電通グループ(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:山本 敏博、資本金:746億981万円)は、本日開催の取締役会において、2021年度第3四半期連結累計期間(2021年1月1日〜9月30日、以下「第3四半期累計」)の連結決算について承認しました。

【エグゼクティブサマリー】

  • 第3四半期累計は、コロナ禍からの経済回復により、国内および海外3地域(Americas/EMEA/APAC)の全てで大幅な業績回復が見られ、連結のオーガニック成長率は12.6%、売上総利益は為替影響排除ベースで前年同期比12.9%増となった。また、調整後営業利益とオペレーティング・マージンは、増収に加え、国内外での構造改革およびコストコントロールの効果により、為替影響排除ベースの前年同期比で、前者は71.7%増の1,318億円、後者は650 bps増加の18.9%となった。
  • 制度上の利益項目では、コロナ禍からの経済回復に加え、固定資産売却益の計上もあり、営業利益は前年同期比約11.5倍の2,118億円、当期利益(親会社の所有者に帰属)は前年同期比約9.9倍の1,017億円となった。
  • 2021年度の通期では、8月に発表した業績予想からの上方修正を発表。オーガニック成長率は12.0%程度(国内:17.0%程度、海外:1桁台後半)、オペレーティング・マージンは18.0%(国内:23.5%、海外:15.0%)を目指す。また、第3四半期の好調により、全ての項目で上方修正。また、1株当たり予想配当金額は、8月発表の101.0円から12.5円増配し、上場来最高額となる113.5円へ。
  • 本日、株式会社電通グループ、電通ジャパンネットワーク、および株式会社電通の経営・役員体制の変更を発表。五十嵐 博(現 電通ジャパンネットワーク 社長執行役員(CEO) 兼 株式会社電通 代表取締役社長執行役員)を当社代表取締役候補ならびに社長執行役員として選任し、社外取締役には多様な経験を持つ専門家を招聘することで、電通グループ全体の変革を加速し、2024年度を最終年度とする中期経営計画の達成と、それ以降の持続的な成長および企業価値の向上を目指す。

【2021年度第3四半期累計(1-9月)の連結業績】

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注:※1~※3は、「項目の定義」を参照。

<第3四半期累計(1-9月)の連結業績のポイント>

売上総利益(6,963億円、前年同期比+15.7%、為替影響排除ベース同+12.9%)

  • 売上総利益の増加の要因は、オーガニック成長(+780億円、成長率〈連結12.6%、国内事業18.2%、海外事業8.6%〉)、為替影響(+148億円)、買収効果(+15億円)。
    • 国内事業:コロナ禍からの回復基調の中、引き続き堅調なデジタルソリューション領域を中心に成長(3,045億円、前年同期比+19.4%)。
    • 海外事業:第3四半期も3地域全てで高いオーガニック成長を維持し、第3四半期累計でも増収(3,920億円、前年同期比+12.9%、為替影響排除ベース同+8.3%)。
    • カスタマーテクノロジー&トランスフォーメーション(CT&T)※4の構成比は広告事業の大幅な回復により、為替影響排除ベースでは若干の減少(連結:28.7%、前年同期比+90 bps、為替影響排除ベース同△70 bps)。

営業利益(2,118億円、前年同期比+1,045.0%、約11.5倍)

  • 調整後営業利益(1,318億円、前年同期比+73.9%、為替影響排除ベース同+71.7%)
    • 国内事業:増収に加え、コストコントロールによる大幅増益(820億円、前年同期比+87.4%)。オペレーティング・マージンは前年同期差980 bps増加の26.9%。
    • 海外事業:全3地域での増収に加え、2020年12月から実施している構造改革やコストコントロールの成果により大幅増益(535億円、前年同期比+49.3%、為替影響排除ベース同+45.5%)。オペレーティング・マージンも同じ要因により、前年同期差330 bps増加(為替影響排除ベースでは同+350 bps)の13.7%。
  • 営業利益調整項目(800億円、前年同期差1,373億円の増加)
    • 主に、固定資産除売却損益の増加(+1,193億円)などによる増加。

当期利益(親会社の所有者に帰属)(1,017億円、前年同期比+889.1%、約9.9倍)

  • 当四半期累計の金融費用(収益との相殺後)と前年同期の金融収益(収益との相殺後)の差額である△398億円、法人所得税費用の増加(+644億円)があったものの、営業利益の増加(+1,933億円)により、約9.9倍。
  • 調整後当期利益(親会社の所有者に帰属)は、前年同期比103.0%増の799億円。

【2021年度第3四半期累計の連結業績の詳細】

(2021年度第3四半期累計 地域別オーガニック成長率と売上総利益構成比)

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<地域別の状況(国内)>

売上総利益は、顧客企業のデジタルトランスフォーメーション需要によって好調を維持したデジタルソリューション領域の成長、顧客企業によるテレビを中心としたマス広告出稿が回復に加え、事業変革により強化されている統合ソリューションの提供が拡大したことにより、前年同期比+19.4%となった。会社別では、デジタル領域を牽引する電通デジタルやCARTA HOLDINGSなどの大幅成長に加え、構成比の大きい(株)電通の売上総利益も20.5%増となり、国内事業の増収に貢献した。調整後営業利益およびオペレーティング・マージンは、増収とコストコントロールにより、それぞれ87.4%増、980 bps増と大幅に増加。なお、売上総利益と調整後営業利益はコロナ禍影響前の2019年度第3四半期累計を上回る結果となった。

同期間では、2021年2月15日に発表した中期経営計画に基づく事業変革も推進しており、顧客企業と社会の持続的成長にコミットする「Integrated Growth Partner(インテグレーテッド・グロース・パートナー、IGP)」への進化を加速させるべく、複数の国内事業子会社の合併、ドリームインキュベータ社との資本業務提携(2021年5月14日発表)、セプテーニグループとの資本業務提携の深化による国内事業のデジタルマーケティング分野の強化(2021年10月28日発表)などを実施または実施の決定をした。そして、事業の両輪となるコーポレート機能についても、新会社「株式会社電通コーポレートワン」の設立(本日発表)により、高度化・効率化していく。また、「電通本社ビル」を電通ジャパンネットワーク全体の事業の中核拠点とすべく、各社の同ビルへの本社移転を進めている。既に本社を置く、または移転を決定した会社は20社を超えており、事業の創発・高度化に向けて着々と準備が進んでいる。

加えて、自社と社会のサスティナビリティを推進する複数の取り組みを一層強化しており、継続的に実施している「カーボンニュートラルに関する生活者調査」については、その第3回調査の結果も発表した(2021年10月21日発表)。

国内事業 売上総利益および調整後営業利益の状況(IFRSベース)

(単位:百万円、△は減少またはマイナス)

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<地域別の状況(海外)>

第3四半期累計の海外事業の売上総利益は、全地域で高いオーガニック成長となり前年同期比+12.9%(為替影響排除ベース同+8.3%)の増収、調整後営業利益は、売上総利益の増加に加え、2020年12月から実施している構造改革やコストコントロールの成果により前年同期比+49.3%(同+45.5%)の大幅増益となった。

Americasの状況(第3四半期累計:売上総利益+9.9%、為替影響排除ベース+9.8%、オーガニック成長率8.8%、第3四半期のみ:オーガニック成長率 16.3%):
第3四半期に、同地域の大きな構成比を占める米国ではメディアサービスラインの成長率が25%を超えたこともあり、米国のオーガニック成長率は約16%となった。既存顧客の取引拡大と広告投資拡大、および多くの新規顧客の獲得も収益向上に寄与した。
AmericasのCXMサービスラインは、コロナ禍でも影響を受けにくかった前年同期と比較しても、コマース&経験価値マーケティング分野では20%以上の成長、B2B分野では30%以上の成長を達成することができた。とりわけ、テクノロジーの実装、データサービス、クリエイティブ、メディアを通したアクティベーションなどの顧客需要が拡大し、好調に推移した。クリエイティブサービスラインは、既存顧客のプロジェクトベースの需要を取り込み、約20%の成長を達成した。

EMEAの状況(第3四半期累計:売上総利益+17.5%、為替影響排除ベース+10.1%、オーガニック成長率10.1%、第3四半期のみ:オーガニック成長率 12.9%):
第3四半期には、メディアとCXMの両サービスラインにおいて2桁成長を達成した。特に、9月にはCXMサービスラインにおいて月別の最高収益を記録。一方、クリエイティブサービスラインにおいては、体験型のマーケティング施策やライブイベントの収益構成が大きいことから、全体としてはコロナ禍の影響を受けることになった。国別で、英国は、第3四半期では顧客企業のブランド投資が好調で、約15%のオーガニック成長率となり、ドイツとイタリアは、メディアサービスラインでの需要が拡大し、2桁成長となった。

APACの状況(第3四半期累計:売上総利益+11.5%、為替影響排除ベース+5.0%、オーガニック成長率5.0%、第3四半期のみ:オーガニック成長率 7.6%):
第3四半期は国ごとに好調・不調が分かれた。オーストラリアはクリエイティブサービスラインが牽引し、約21%のオーガニック成長率となった。シンガポールとインドネシアも、メディアサービスラインにおける新規顧客獲得とCXMサービスラインでの想定を超える成長により、大幅に成長した。同地域の大きな構成比を占める中国は、プロジェクトベース案件の後ろ倒しなどによるクリエイティブサービスラインの不調により、マイナスのオーガニック成長となった。一方で、その中においても、メディアサービスラインは複数の国で事業を行なう既存顧客企業との取引領域が拡大したことから前年同期を上回り、CXMサービスラインにおいても広範な産業における新規顧客の獲得で好調だった。インドは、前年同期のマイナスから当四半期は約9%の成長へと回復した。

海外事業 地域別の売上総利益・オーガニック成長率

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海外事業 サービスライン別の売上総利益・オーガニック成長率

(△は減少)

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※顧客体験マネジメント(Customer Experience Management)

海外事業 調整後営業利益の状況(IFRSベース)

(単位:百万円)

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【2021年度第3四半期(7-9月)の連結業績】

(△は損失)

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注:※1~※3は、「項目の定義」を参照。

<第3四半期(7-9月)の連結業績のポイント>

  • コロナ禍からの回復に伴う景況感や消費者心理の改善に伴い、国内外でテレビやインターネットなどの広告需要が高まり、日本では東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会がその勢いを後押しした。
  • そうした環境下、当社の売上総利益は、顧客企業からのデジタルソリューションやマス広告需要の増加により、コロナ禍の影響が大きかった前年同期との比較で32.5%増加。
  • オーガニック成長率は、国内事業は49.7%、海外事業では3地域全てで高いオーガニック成長となり、13.4%の力強い成長を達成。
  • 増収に加え、2020年から遂行する国内外の構造改革の効果もあり、オペレーティング・マージンは、前年同期比で+1,160 bpsと大きく改善し、23.5%。
  • なお、当四半期の営業利益、当期利益(親会社の所有者に帰属)は、電通本社ビルの譲渡に伴う利益が反映されたため、大幅な損益改善となった。

四半期別オーガニック成長率の推移

(売上総利益ベース、%、△はマイナス成長)

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四半期別オーガニック成長率の推移(海外地域別)

(売上総利益ベース、%、△はマイナス成長)

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【2021年度(2021年1月1日~12月31日)の通期連結業績予想】
2021年度の第3四半期(7〜9月)はコロナ禍からの経済回復に大きく後押しされ、国内事業において想定以上に大幅な回復が見られた。特に、顧客企業による、テレビ広告を中心としてマス広告出稿が想定以上に回復したこと、デジタル領域の需要が想定以上に拡大したことがその要因。また海外事業も前年同期比で高い成長率を示しながら、堅調に推移した。第4四半期は、比較対象となる前年同期にコロナ禍からの回復基調が既に見えていたことなどから、第3四半期ほどの高い成長は見込めないことに加え、第3四半期に予定していた人財獲得・育成やテクノロジーへの投資を第4四半期に実行することから、慎重に見ている。

この前提で、通期のガイダンスを8月発表予想から上方修正した。オーガニック成長率は8月時点ガイダンスの「連結ベース 1桁台後半」から上方修正し、「連結ベース 12.0%程度、国内事業 17.0%程度、海外事業 1桁台後半」とした。これにより、連結ベースの売上総利益は2019年度水準まで戻る見通しとなる。また、オペレーティング・マージン予想も上方修正し、連結18.0%(8月予想:16.4%、2020年度:14.8%)、国内事業23.5%(8月予想:20.0%、2020年度:18.0%))、海外事業15.0%(8月予想:15.0%、2020年度:13.7%))とした。
 
当連結業績予想には、9月末に実施した電通本社ビルの譲渡および賃貸契約の取引の影響額として、営業損益へ870億円、親会社の所有者に帰属する当期損益へ約490億円をプラス要因として反映してる。一方、構造改革費用として、国内事業で145億円、海外事業で15億円、合計160億円を営業損益のマイナス要因として反映している。

2021年度の連結業績予想数値(IFRS基準、2021年1月1日~12月31日)

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注:※1~※3は、P9 「項目の定義」を参照。
為替は、2021年度今回発表業績予想は2021年1-10月平均、8月発表は2021年1-7月平均、前年度実績は2020年1-12月平均。

<剰余金の配当について>

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(ご参考)2020年度実績:中間配当47.5円、期末配当23.75円、年間71.25円。配当性向28.5%。
※基本的1株当たり調整後当期利益と1株当たり年間配当金により算出。

2021年2月15日に発表した中期経営計画において、基本的1株当たり調整後当期利益に対する配当性向を、今後数年で35%まで漸進的に高めていくことを掲げている。この方針に基づき、2021年度の配当性向は30%を目標としており、この度、本日公表した業績予想修正などを総合的に勘案した結果、1株当たり予想年間配当金を、8月発表の101.0円から1株当たり12.5円増の113.5円へ修正する。なお、1株当たり年間配当金は上場来最高の水準となる。

【参考資料】

売上総利益の各構成

(△は減少)

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連結決算の範囲

(2021年9月末時点の会社数、カッコ内は2020年9月末)

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以 上

項目の定義:

※1.「調整後営業利益」は、営業利益から、『買収行為に関連する損益』および『一時的要因』を排除した、恒常的な事業の業績を測る利益指標。『買収行為に関連する損益』:買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、被買収会社に帰属する株式報酬費用、完全子会社化に伴い発行した株式報酬費用。『一時的要因』:構造改革費用、減損、固定資産の売却損益など。

※2.「オペレーティング・マージン」は、「調整後営業利益÷売上総利益」で計算。

※3.「当期利益(親会社の所有者に帰属)」は、当期利益(親会社所有者帰属分)から、営業利益に係る調整項目、条件付対価に係る公正価値変動額(アーンアウト債務再評価損益)・株式買取債務に係る再測定額(買収関連プットオプション再評価損益)、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当などを排除した、親会社所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標。

※4.「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー(CT&T)」は、当社が2021年2月発表の中期経営計画で示したマーケティング・テクノロジー、カスタマーエクスペリエンスマネジメント、コマース、システム・インテグレーション、トランスフォーメーション&グロース戦略などの事業で構成される新領域。

(注)将来の事象に係る記述に関する注意
本資料上の業績予想については、現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断をしたものであり、潜在的なリスクや不確定要素等の要因が内在しています。そのため、様々な要因の変化により、実際の業績はこれらの予想数値と異なる可能性があります。

【リリースに関する問い合わせ先】
株式会社電通グループ グループコーポレートコミュニケーションオフィス
TEL:03-6217-6601   Email:group-cc@dentsu-group.com

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