2020年度第1四半期連結決算(IFRS)

株式会社電通グループ(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:山本 敏博、資本金:746億981万円)は、本日開催の取締役会において、2020年度第1四半期連結期間(2020年1月1日~ 3月31日、以下「当四半期」)の連結決算を承認しました。

【決算発表のポイント】

  • 当四半期の連結業績は、前年同期比で収益と売上総利益はほぼ横ばいとなったものの、利益項目は大幅な増益となった。売上総利益は為替とマイナスのオーガニック成長の影響を買収効果でほぼ相殺、調整後営業利益は主に国内事業の増収と海外事業のコストコントロールなどにより大幅増益。
  • 国内事業は、デジタルソリューションやマーケティング/プロモーションが好調で増収増益となり、オペレーティング・マージンも改善した。
  • 海外事業は、売上総利益がAPAC地域(特に中国、オーストラリア)の不振によりマイナスのオーガニック成長となったが、買収効果により為替影響排除ベースではほぼ前年同期並み。調整後営業利益はコストコントロールの効果もあり大幅増となり、オペレーティング・マージンも大幅改善。
  • コロナ禍による業績への影響は、3月後半から現れ、第2四半期が通期で最も厳しい四半期になると見ている。影響緩和のために第1四半期からコストコントロールを行っており、2020年度は7%のコスト削減(期初計画比)を目指す。
  • 年間の業績予想は、コロナ禍の影響などにより、一定の合理性をもって算出できる状況にないため、2020年2月13日に公表した2020年度通期連結業績予想を一旦取り下げ「未定」とした。
  • 格付投資情報センター(R&I)による「AA-」の格付けを取得しているなど健全なバランスシートに加え、迅速な手当てにより、十分な資金流動性を維持。

※コロナ禍における当社グループの対応、2020年度の連結業績予想の詳細は、本日発表のニュースリリース「コロナ禍への対応について」および「2020年12月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」をご参照ください。

【当四半期(2020年度第1四半期(1-3月))実績】

(△は実額がマイナスまたは減少)

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※1. 調整後営業利益は、営業利益から、買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、被買収会社に帰属する株式報酬費用ならびに減損、固定資産の売却損益などの一時的要因を排除した恒常的な事業の業績を測る利益指標。

※2. オペレーティング・マージンは、「調整後営業利益÷売上総利益」で算出。

※3. 親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は、当期利益から、営業利益に係る調整項目、関連会社株式売却損益、アーンアウト債務・買収関連プットオプション再評価損益、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当などを排除した、親会社所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標。

<当四半期の連結業績ハイライト>

  • 売上総利益(2,271億円、前年同期比△0.4%、為替影響排除ベース同+1.3%)
    • 売上総利益の増加の主要因は、買収効果(+46億円)、オーガニック成長(△17億円、成長率〈連結△0.8%、国内事業2.1%、海外事業△3.3%〉)、為替影響(△36億円)。
    • 国内事業:マス4媒体市場の減少による影響はあったが、デジタルソリューションと、マーケティング/プロモーションでの増収により増(1,037億円、前年同期比+2.1%)。
    • 海外事業:買収効果はあったものの、為替影響および中国とオーストラリアの業績悪化によるAPAC不振の影響により減(1,232億円、同△2.6%、為替影響排除ベース同+0.3%)。
  • 調整後営業利益(372億円、前年同期比+34.9%、為替影響排除ベース同+34.0%)
    • 国内事業:増収およびコストの適正化により増(288億円、前年同期比+3.9%)。
    • 海外事業:事業構造改革の成果やコストコントロールにより増(86億円、前年同期は1億円の損失)。
  • オペレーティング・マージン(16.4%、前年同期差+430 bps、為替影響排除ベース同+400 bps)
    • 国内事業:主に増収による向上 (27.8%、前年同期差+50 bps) 。
    • 海外事業:調整後営業利益と同じ要因 (7.0%、同+710 bps、為替影響排除ベース同+700 bps)。
  • 調整後当期利益(親会社の所有者に帰属)(203億円、前年同期比+40.3%)
    • 増加要因は、主に調整後営業利益の増。
    • 基本的1株当たり調整後当期利益は74.09円(前年同期は51.48円)。

注記:当資料上の前年同期数値は、比較可能性を高めるため全てプロフォーマベース(賞与平準化後)の数値を使用しており、開示済みの前年同期実績数値とは異なる。また、2020年1月に設立された純粋持株会社(株式会社電通グループ)の費用1,211百万円は国内事業に計上している。

<コロナ禍に対応したコストコントロール>

コロナ禍による収益へのマイナス影響を最小化するため、当社グループは2月からコストコントロールに取り組んでいる。具体的には、国内外での不要不急の出張や交際費の削減、発注内容の見直し、業務の効率化、M&A延期による関連費用の抑制などがあり、これらが第1四半期のオペレーティング・マージンの改善にも寄与した。
また、足元および今後の業績動向を勘案し、迅速かつ柔軟な意思決定によるコストコントロールに努めており、2020年度は7%のコスト削減(期初計画比)を目指す。その一環として、当社執行役員の報酬の減額を決定した。

<地域別の状況>
(国内)
2020年1月、2月の業績は想定を上回り推移したが、3月後半からはコロナ禍の影響を受けた。売上総利益は、マス4媒体市場の減少による影響はあったが、デジタルソリューション領域とマーケティング/プロモーション領域でのビジネスが拡大して増収。また、経費適正化や労働環境改革を通じた生産性の向上により調整後営業利益も増加し、オペレーティング・マージンも若干改善した。会社別では、 (株)電通国際情報サービス、(株)電通ライブ、(株)電通デジタルが増収に大きく貢献した。また、国内電通グループとしての各社間のシナジーも成果を出しつつある。
今後、顧客のデジタルトランスフォーメーションが加速するものと予想されるが、当社グループでは専門領域を持つグループ会社の連携強化で、より高度な統合ソリューションを提供し、これにより収益の多様化と継続的な成長を実現していきたいと考えている。

国内事業 会社別売上総利益の状況(IFRSベース)

(単位:百万円、△は実額が減少)

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※「地域電通」は100%連結子会社の電通東日本、電通西日本、電通九州、電通北海道の4社の合計。

国内事業 業務区分別売上高の状況(IFRSベース)

(単位:百万円、△は実額がマイナスまたは減少)

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※1. インターネット(旧集計)に加え、マスメディアに含まれるインターネット広告売上(2020年1-3月で2,027百万円)を加算し、重複計上した数値。

※2. IFRSベースでは、日本基準と売上計上のタイミングに差がある。上表では、日本基準を記載し、IFRSベースとの差額は「連結調整等」で調整。

※3. 海外グループ会社への売上や会計基準の違いによる調整等を含む。

※4. 「インターネット」と各マスメディアで重複計上された数値。

(海外)
当四半期における海外事業のオーガニック成長率は△3.3%となった。Americasはプラス成長、EMEAは横ばい、APAC(日本を除く)は中国とオーストラリアの低迷の影響を受けた。3つの事業ラインのそれぞれのオーガニック成長率は、CRM3.9%、メディア△5.9%、クリエイティブ△6.5%であった。
2019年12月に発表した7市場での事業構造改革は順調に進捗しており、2020年度内の計画完遂後には年間ベースで1億ポンドのコスト削減を実現予定(2020年度は4,500万ポンドの削減効果を見込む)。当四半期には、通期のオペレーティング・マージンの改善に向けて、裁量的支出の削減、新規採用の凍結、発注内容の見直しなどのコストコントロールを実施した。
また、新しいビジネスモデルへの移行も順調に進んでおり、引き続き、データ、テクノロジー、アイデアにより、クライアントによる顧客獲得・維持・成長を支援していく。コロナ禍で事業の厳しさが増す中においても、比較的長期の契約となるCRM事業の安定性が再確認できたことを踏まえ、事業モデルの変革を加速させている。短期間で統合ソリューションの進化を図り、CRM事業の中核であるマークル社の完全子会社化も前倒しで行った。今後も、海外事業の早期回復とその後の成長に向けて、迅速な意思決定で着実に改革を進めていく。

当四半期には、米国において3件の企業買収(メディア・ストーム社、4CITE社、デジタルPi社)を行った。これらの狙いは全てマークル社の強みであるCRM領域をさらに強化・拡充することにある。M&A戦略では、高成長分野における規模と地理的な拡大に焦点を当てているが、コロナ禍の影響を受け、今後の案件については第2四半期末までは保留することにしている。

海外事業 地域別のオーガニック成長率(△はマイナス成長)

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  • EMEAの状況:英国は4四半期連続のマイナス成長の後、プラス成長に戻った。ロシアは二桁のオーガニック成長を遂げ、イタリア、スウェーデン、スイス、スペイン、デンマークなども好調。一方、オランダ、ドイツ、フランスでは、顧客の支出の減少によりマイナス成長。
  • Americasの状況:米国ではCRM領域がけん引し、2.2%ものオーガニック成長を達成。マークル社は継続して一桁後半の成長を維持した。一方、カナダとブラジルはマイナス成長となった。
  • APACの状況:2019年度に失ったアカウントの影響もあり、中国とオーストラリアでは厳しい状況が続き、コロナ禍による影響も受けた。しかし、中国では第1四半期に新しいビジネスの獲得があり、オーストラリアにおいても、新しいCEOのもと力強いスタートを切っており、事業の好転に期待している。インドは顧客の支出の減少もありオーガニック成長率は二桁のマイナスとなったが、香港とニュージーランドはともにプラス成長となった。

<利益の詳細>

調整後営業利益から営業利益への調整額

(単位:百万円、△は実額がマイナスまたは減少)

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調整後当期利益から当期利益への調整額

(単位:百万円、△は実額がマイナスまたは減少)

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営業利益以下の損益項目

(単位:百万円、△は実額がマイナスまたは減少)

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【2020年度(2020年1月1日~12月31日)の通期連結業績予想】

当四半期は年初計画を上回ったが、第2四半期の業績は悪化を想定していること、および下半期の予想が一定の合理性をもって算出できる状況にないことから、2020年度の通期業績見通しは一旦取り下げ「未定」とする。

注:2020年度の連結業績予想の詳細は本日発表のニュースリリース「2020年12月期通期連結業績予想に関するお知らせ」をご参照ください。

【参考資料】

参考① 2020年度第1四半期の連結業績ハイライト表

(単位:百万円、△は実額がマイナスまたは減少)

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※1. 売上高は当社グループが顧客に対して行った請求額および顧客に対する請求可能額の総額(割引および消費税等の関連する税金を除く)。売上高の情報が財務諸表利用者にとって有用であるとの観点から、IFRSに準拠した開示ではないものの、自主的に開示している。

※2. 当社グループの収益の内訳は、主に各種メディアへの広告出稿によって得られる手数料、およびクリエイティブ・サービスを含む広告制作や各種コンテンツサービス等のサービスの提供に対する広告主等からの報酬。広告制作やその他の広告サービスによる収益は、当社グループがこれらサービスに対する報酬として広告主およびその他のクライアントから受領する対価から原価を控除した純額、あるいは定額または一定の報酬対価により計上している。なお、広告業以外の事業および広告業の一部に係る取引は、収益および原価を総額表示している。

※3. 為替影響排除ベース:当期累計実績と、前期実績などの比較数値を直近決算為替レートで洗い替えた数値との比較のこと。

参考② 2020年度第1四半期 売上総利益の詳細情報

  • オーガニック成長率:連結△0.8%、国内事業2.1%、海外事業△3.3%
    (前年同期:連結△1.6%、国内事業△2.7%、海外事業△0.7%)
  • デジタル領域構成比:連結48.1%、国内事業29.2%、海外事業64.2%
    (前年同期:連結47.0%、国内事業27.7%、海外事業62.5%)
  • 海外事業構成比:54.3%(前年同期:55.5%)

参考③ 四半期別オーガニック成長率の推移

(売上総利益ベース、%、△はマイナス成長)

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参考④ 四半期別オーガニック成長率の推移(海外地域別)

(売上総利益ベース、%、△はマイナス成長)

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参考⑤ 連結決算の範囲

(2020年3月末時点の会社数、カッコ内は2019年3月末)

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以 上

(注)将来の事象に係る記述に関する注意
本資料上の業績予想については、現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断をしたものであり、潜在的なリスクや不確定要素等の要因が内在しています。そのため、さまざまな要因の変化により、実際の業績はこれらの予想数値と異なる可能性があります。

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