2021年12月期連結決算(IFRS)および剰余金の配当に関するお知らせ

株式会社電通グループ(本社:東京都港区、取締役社長執行役員CEO:五十嵐 博、資本金:746億981万円)は、本日開催の取締役会において、2021年12月期連結累計期間(2021年1月1日~12月31日)の連結決算を承認しました。

【エグゼクティブサマリー】

  • 2021年度の連結業績は、コロナ禍からの経済回復により、国内および海外3地域の全てで業績回復が見られ、連結のオーガニック成長率は13.1%、売上総利益は為替影響排除ベースで前年比13.5%増となった。また、調整後営業利益とオペレーティング・マージンは、増収に加え、国内外での構造改革およびコストコントロールの効果により、為替影響排除ベースの前年比で、前者は41.3%増の1,790億円、後者は360 bps増加の18.3%となった。
  • 制度上の利益項目では、業績回復に加え、「電通本社ビル」を含む固定資産売却益の計上もあり、営業利益は2,418億円、当期利益(親会社の所有者に帰属)は1,083億円となった。
  • 2022年度の業績予想では、売上総利益は上場来初の1兆円超、調整後営業利益も上場来の最高額となる1,879億円とし、2桁成長を実現した2021年を土台としたオーガニック成長率は4%を予想する。構造改革から「事業変革と持続的成長」のフェーズに移行し、カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー(CT&T)領域が牽引する持続的成長を目指す。
  • 2024年度を最終年度とする中期経営計画をアップデートし、新たな経営方針として新たに「B2B2S (Business to Business to Society)」を提唱したほか、成長性、収益性、資本配分、ESGの各分野でKPIの目標を具体化・上方修正した。
  • 株主還元について、配当性向は、中期経営計画で掲げた方針に基づき、2021年度、2022年度をそれぞれ30.0%、32.0%とした。これに伴い、1株当たり配当金額をそれぞれ上場来最高額となる117.5円、130.0円(予想)とした。自己株式取得については、2021年度に約300億円を実施したが、本日、新たに2022年度に400億円を上限として実施することを決定した。

*:詳細は本日公開したニュースリリース「電通グループ、2024年度中期経営計画をアップデート」をご参照ください。

【2021年度累計(1-12月)の連結業績】

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注:※1~※3は、「項目の定義」を参照。 

<2021年度の連結業績のポイント>

売上総利益(9,765億円、前年比+16.9%、為替影響排除ベース同+13.5%)

  • 売上総利益の増加の要因は、オーガニック成長(+1,127億円、成長率〈連結13.1%、国内事業17.9%、海外事業9.7%〉)、為替影響(+257億円)、買収効果(+30億円)。
    • 国内事業:コロナ禍からの回復基調の中、マス広告と引き続き堅調なデジタルソリューション領域を中心に成長(4,159億円、前年比+19.2%)。
    • 海外事業:第4四半期も3地域全てでプラスのオーガニック成長となり、年間でも増収(5,609億円、前年比+15.4%、為替影響排除ベース同+9.6%)。
    • CT&T※4の構成比は連結で29.1%(国内事業:24.4%、海外事業:32.6%)。

営業利益(2,418億円、前年は1,406億円の損失)

  • 調整後営業利益(1,790億円、前年比+44.4%、為替影響排除ベース同+41.3%)
    • 国内事業:増収に加えて、コストコントロールによる大幅増益(953億円、前年比+52.0%)。オペレーティング・マージンは前年差490 bps増加の22.9%。
    • 海外事業:全3地域での増収に加えて、2020年12月から実施している構造改革およびコストコントロールの成果により大幅増益(889億円、前年比+33.8%、為替影響排除ベース同+28.4%)。オペレーティング・マージンも同じ要因により、前年差220 bps増加(為替影響排除ベースでは同+230 bps)の15.9%。
  • 営業利益調整項目(628億円、前年差3,274億円のプラス)
    • 減損損失の縮小(+1,433億円)、固定資産売却益等の増加(+1,191億円)などによるプラス。

当期利益(親会社の所有者に帰属)(1,083億円、前年は1,595億円の損失)

  • 調整後当期利益(親会社の所有者に帰属)は、前年比56.2%増の1,092億円。  
  • 当期利益調整項目(8億円の損失、前年差2,286億円のプラス)
    • 関連する税金費用のマイナスの影響(△651億円)、アーンアウト債務・買収関連プットオプション再評価損益のマイナスの影響(△339億円)などがあったものの、主に、営業利益の調整項目のプラス(+3,274億円)による損失改善。

1株当たり配当:117.5円(中間50.5円、期末67.0円)(前年は年間で71.25円)
配当性向:30.0%(前年:28.5%)(基本的1株当たり調整後当期利益ベース)

【2021年度の連結業績の詳細】

(2021年度 地域別オーガニック成長率と売上総利益構成比)

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<地域別の状況(国内)>

売上総利益は、広告市場の回復、好調を維持したデジタルソリューション、また、事業変革によって強化された統合ソリューションの提供が拡大したことで、前年比+19.2%となった。会社別では、デジタル領域を牽引する電通デジタル(前年比+41.0%)やCARTA HOLDINGS(同+17.5%)などの大幅な成長に加え、構成比の大きい(株)電通の売上総利益も前年比18.3%増となり、国内事業の増収に貢献した。調整後営業利益およびオペレーティング・マージンは、増収とコストコントロールにより、それぞれ52.0%増、490 bps増と大幅に増加した。

2021年度は、中期経営計画に基づく事業変革を推進した。その中で、顧客企業と社会の持続的成長にコミットする「Integrated Growth Partner(インテグレーテッド・グロース・パートナー(IGP))」への進化を加速させるべく、複数の国内事業子会社の再編や戦略的な資本関係の変更を発表・実施した。同期間に発表した内容のうち、2022年1月には、デジタルマーケティング分野の強化を目的としてセプテーニグループを電通グループに連結子会社化したほか、コーポレート機能特化の新会社「(株)電通コーポレートワン」が稼動し、電通ジャパンネットワーク 社長執行役員CEO榑谷 典洋をトップとする新執行体制も始動した。なお、「電通本社ビル」を電通ジャパンネットワーク全体の事業の中核拠点とすべく、各社の同ビルへの本社移転を進めており、既に本社を置く、または移転を決定した会社は20社を超え、事業の創発・高度化に向けて着々と準備が進んでいる。

加えて、自社と社会のサステナビリティを推進する複数の取り組みを一層強化した。直近では、「サステナビリティ・コミュニケーションガイド」の発行、第5回となる「カーボンニュートラルに関する生活者調査」の発表を行い、さらに、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の推進を強化するため、電通ジャパンネットワーク CDO(Chief Diversity Officer)を新設した。

国内事業 売上総利益および調整後営業利益の状況(IFRSベース)

(単位:百万円)

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<地域別の状況(海外)>

全3地域が好調で、売上総利益は前年比+15.4%(為替影響排除ベース+9.6%)の増収、調整後営業利益は、売上総利益の増加に加え、2020年12月から実施している構造改革やコストコントロールの成果により前年比+33.8%(同+28.4%)の増益となった。

Americasの状況(2021年度累計:売上総利益+14.5%、為替影響排除ベース+12.4%、オーガニック成長率10.6%、第4四半期のみ:オーガニック成長率 15.4%):
第4四半期に、同地域の大きな構成比を占める米国では14.1%、またカナダでは29.5%の成長となった。Americas全体で、12月単月で20%以上の成長となったこともあり、第4四半期は想定以上の実績となった。サービスライン別で見ると、メディアサービスラインはラグジュアリーブランド企業、テック企業、金融企業の需要が旺盛だった。マークル(Merkle)が牽引するCXM(Customer Experience Management)サービスラインでは、前年同期のハードルが高かったものの好調を維持し、プラス成長となった。当社グループが第3四半期に買収したライブエリア(LiveArea)は、第4四半期に30%以上のオーガニック成長を記録し、マークルブランドへの統合も順調に進捗している。
2021年度累計でのオーガニック成長は、ブラジルではマイナス8.9%だったものの、米国で9.9%、カナダで22.9%のプラスであったことから、Americas全体では10.6%となった。クリエイティブサービスラインは下半期を通して好調であり、メディアサービスラインは広告市場の回復により18%の成長となった。またCXMサービスラインは、データ、分析、テクノロジーを活用したマーケティングへの需要が高く、コマースと経験価値マーケティング分野での好調が続いた。

EMEAの状況(2021年度累計:売上総利益+18.3%、為替影響排除ベース+10.8%、オーガニック成長率11.1%、第4四半期のみ:オーガニック成長率 12.6%):
第4四半期は、地域別ではデンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、スウェーデン、スイスが、またサービスライン別では3つ全てが2桁成長となった。
2021年度累計で、地域別に見ると、デンマーク、フランス、ポーランド、スペイン、スイスで2桁成長となったほか、英国でも8.2%の成長となった。サービスライン別では、CXMが12.1%、メディアが10.5%、クリエイティブが6.2%の成長となった。

APACの状況(2021年度累計:売上総利益+11.3%、為替影響排除ベース+4.7%、オーガニック成長率4.7%、第4四半期のみ:オーガニック成長率 3.8%):
第4四半期に、オーストラリアは新しい経営体制の下、20%以上の成長率となった。一方、インドは、ローカル顧客の喪失によりマイナスとなった。また、中国では、クリエイティブサービスラインはマイナスだったが、年末にかけてCXMサービスラインとメディアサービスラインにおいて想定以上の成長があり、概ね相殺された。
2021年度累計では、24.0%成長のシンガポール、20.8%成長のインドネシア、12.1%成長のオーストラリアなどが牽引したものの、インド、中国、タイでのマイナスにより一部相殺された。中国は第3四半期以降にクリエイティブサービスラインがマイナスとなり、全体でもマイナス2%となった。

海外事業 地域別の売上総利益・オーガニック成長率

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海外事業 サービスライン別の売上総利益・オーガニック成長率

(△は減少)

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※顧客体験マネジメント(Customer Experience Management)

海外事業 調整後営業利益の状況(IFRSベース)

(単位:百万円)

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【2021年度第4四半期(10-12月)の連結業績】

(△は損失または減少)

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注:※1~※3は、「項目の定義」を参照。

<第4四半期(10-12月)の連結業績のポイント>

  • コロナ禍からの回復に伴う景況感や消費者心理の改善に伴い、国内外でテレビやインターネットなどの広告需要が高まり、オーガニック成長が全地域でプラスとなったことから、連結オーガニック成長率は前年同期比14.2%、売上総利益は同20.2%増となった。
  • 一方、調整後営業利益とオペレーティング・マージンは、人財獲得・育成やテクノロジーへの投資を同期間に実行したことなどから減少した。
  • なお、制度上の利益項目について、前年同期は、多額の減損損失の計上により大きな損失となったが、当四半期は利益を計上した。

四半期別オーガニック成長率の推移

(売上総利益ベース、%、△はマイナス成長)

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四半期別オーガニック成長率の推移(海外地域別)

(売上総利益ベース、%、△はマイナス成長)

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【2022年度(2022年1月1日~12月31日)の通期連結業績予想】

2022年度は、オーガニック成長に加え、買収企業の年間寄与、為替の影響などから、売上総利益は2021年度比8.5%の増加で、上場来初めて1兆円超となる1兆592億円を予想する。調整後営業利益は、人財投資など持続的成長へ向けた費用を見込むものの、増収および構造改革によるコスト削減効果を織り込み、2021年度比5.0%増で、上場来最高となる1,879億円を予想する。オペレーティング・マージンはアップデート後の中期経営計画で掲げる17.0%~18.0%のレンジ内となる17.7%を予想する。

制度上の営業利益と当期利益(親会社の所有者に帰属)は、2021年度に電通本社ビルをはじめとした固定資産の売却益が計上されていたことなどから、2022年度では減少を予想する。

2022年度の連結業績予想数値(IFRS基準、2022年1月1日~12月31日)

(△は減少)

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注:※1~※3は、「項目の定義」を参照。
為替は、2022年度業績予想は2022年1月平均、2021年度実績は2021年1-12月平均。

<事業セグメント別ガイダンス>
オーガニック成長率:連結 4%、国内事業 2~3%、海外事業 4~5%
オペレーティング・マージン:連結17.7%、国内事業 22%、海外事業 2021年度と同水準


【剰余金の配当】

2021年度 配当

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(ご参考)2020年度実績:中間配当47.5円、期末配当23.75円、年間71.25円。配当性向28.5%。
※基本的1株当たり調整後当期利益と1株当たり年間配当金により算出。

2022年度 配当予想

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※基本的1株当たり調整後当期利益と1株当たり年間配当金により算出。

中期経営計画において、基本的1株当たり調整後当期利益に対する配当性向を漸進的に高め、2024年度に35%とすることを方針としている。
この方針に基づき、配当性向を30.0%とした2021年度は、配当性向の計算のベースとなる基本的1株当たり調整後当期利益の実績が2021年11月開示予想を上回ったことから、1株当たり期末配当金を63.0円から67.0円へ、年間配当金を113.5円から117.5円へと4円増配した。なお、この金額は、年間配当金として上場来最高額となる。
2022年度は、配当性向を32.0%とし、1株当たり中間配当金と期末配当金を同額の65.0円、年間で130.0円と予想する。

【参考資料】

売上総利益の各構成

(△は減少)

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連結決算の範囲

(2021年12月末時点の会社数、カッコ内は2020年12月末)

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以 上

項目の定義:

※1.「調整後営業利益」は、営業利益から、『買収行為に関連する損益』および『一時的要因』を排除した、恒常的な事業の業績を測る利益指標。『買収行為に関連する損益』:買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、被買収会社に帰属する株式報酬費用、完全子会社化に伴い発行した株式報酬費用。『一時的要因』:構造改革費用、減損、固定資産の売却損益など。

※2.「オペレーティング・マージン」は、「調整後営業利益÷売上総利益」で計算。

※3.「調整後当期利益(親会社の所有者に帰属)」は、当期利益(親会社所有者帰属分)から、営業利益に係る調整項目、条件付対価に係る公正価値変動額(アーンアウト債務再評価損益)・株式買取債務に係る再測定額(買収関連プットオプション再評価損益)、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当などを排除した、親会社所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標。

※4.「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー(CT&T)」は、当社が2021年2月発表の中期経営計画で示したマーケティング・テクノロジー、カスタマーエクスペリエンスマネジメント、コマース、システム・インテグレーション、トランスフォーメーション&グロース戦略などの事業で構成される新領域。

(注)本資料および本資料上の記述に関する注意
本資料は、従来通り監査対象外です。
本資料上の業績実績については、一部監査中です。
本資料上の業績予想については、現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断をしたものであり、潜在的なリスクや不確定要素等の要因が内在しています。そのため、様々な要因の変化により、実際の業績はこれらの予想数値と異なる可能性があります。

【リリースに関する問い合わせ先】
株式会社電通グループ グループコーポレートコミュニケーションオフィス 小嶋
TEL:03-6217-6601   Email:group-cc@dentsu-group.com

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