2021年度第1四半期連結決算(IFRS)に関するお知らせ

株式会社電通グループ(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:山本 敏博、資本金:746億981万円)は、本日開催の取締役会において、2021年度第1四半期累計連結期間(2021年1月1日〜3月31日、以下「当四半期」)の連結決算を承認しました。

【エグゼクティブサマリー】

  • 当四半期の連結業績は、コロナ禍の影響が続く中でも、2020年度第2四半期を底に四半期ごとに改善し、オーガニック成長率はマイナス2.4%、売上総利益は為替影響排除ベースで前年同期比1.8%の減少に留まった。当四半期のオーガニック成長率は月ごとに改善しており、3月単月ではプラス2.5%となった。調整後営業利益とオペレーティング・マージンは、国内外での構造改革およびコストコントロールの効果により、為替影響排除ベースで、前者は前年同期比22.4%増の449億円、後者は400bps改善の20.2%。事業面では、デジタル領域構成比がグループ全体で51.3%へと拡大し、カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー※1など高成長領域への事業モデル転換が進展。
  • 制度上の利益項目では、営業利益は、国内外での構造改革費用等の計上があったものの、調整後営業利益の増加により16.7%増の288億円、当期利益(親会社の所有者に帰属)は、主にアーンアウトにより買収した企業の将来業績見通しを上方修正したことに伴う金融費用の計上(前年同期は収益の計上)により68.2%減の48億円となった。なお、営業活動によるキャッシュ・フローは、運転資本の減少などにより300億円改善した。
  • 2020年8月に着手した“包括的な事業オペレーションと資本効率に関する見直し”が進捗し、特に海外事業でのコスト効率化が業績に寄与し始めた。2020年12月に発表した海外事業での6つのリーダーシップブランドへの統合については、当時の160ブランドのうち50ブランドを削減済み。国内事業ではグループ内2件の合併(7月1日付)を発表。また、継続的に見直している非事業資産については、新たに不動産および政策保有株式の売却(4月)を実施。
  • 2021年度はグループ全体にわたり好調なスタートを切ったが、主要市場のマクロ経済の不透明さに鑑み、通期のガイダンスは期初に掲げた「オーガニック成長率はプラス成長、オペレーティング・マージンは2020年度と同水準(為替影響排除ベース)」から変更無し。2021年度通期連結業績予想については、8月の第2四半期決算発表での公表を予定。

【当四半期の連結業績】

(△は減少)

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注:※1~※4は、ページ下部「注記の詳細」を参照。

<当四半期の連結業績のポイント>

売上総利益(2,224億円、前年同期比△2.1%、為替影響排除ベース同△1.8%)

  • 売上総利益の減少の要因は、オーガニック成長(△55億円、成長率〈連結△2.4%、国内事業△0.9%、海外事業△3.5%〉)、買収効果(+6億円)、為替影響(+2億円)。
    • 国内事業:デジタルソリューション領域の好調に加え、マス4媒体広告の四半期ごとの改善もあり、コロナ禍の影響がほぼ無かった前年同期並みを確保(1,037億円、前年同期比+0.0%)。
    • 海外事業:コロナ禍の影響で、Americas、EMEA、APACの全地域がマイナスのオーガニック成長となり、減収(1,188億円、同△3.5%、為替影響排除ベース同△3.1%)。
    • デジタル領域構成比が大幅に拡大。連結51.3%(前年同期48.1%)、国内事業35.7%(同29.2%)、海外事業64.7%(同64.2%)。

営業利益(288億円、前年同期比+16.7%)

  • 調整後営業利益(449億円、前年同期比+20.8%、為替影響排除ベース同+22.4%)
    • 国内事業:主にコストコントロールによる大幅増益(339億円、同+12.1%)。オペレーティング・マージンは前年同期差350 bps増加の32.8%。(第2四半期以降は営業費用の増加が想定される。恒常的なコスト低減の効果は2022年度から表れる見込み。)
    • 海外事業:2020年12月から実施している構造改革やコストコントロールの成果により大幅増益(122億円、前年同期比+41.8%、為替影響排除ベース同+49.7%)。オペレーティング・マージンも同じ要因により、前年同期差330 bps増加(為替影響排除ベース+360 bps)の10.3%。(オペレーティング・マージンは、第2四半期以降、前年同期のハードルが高くなるものの、僅かな改善を想定。)
  • 営業利益調整項目(△161億円、前年同期差36億円のマイナス調整額の増加)
    • 構造改革費用の増加(+70億円)などによるマイナス調整額の増加。

当期利益(親会社の所有者に帰属)(48億円、前年同期比△68.2%)

  • 主に金融費用(収益との相殺後)100億円の計上(前年同期は金融収益(費用との相殺後)50億円の計上)により減少。金融費用(収益との相殺後)計上の主な要因は、アーンアウトにより買収した企業の業績見通しを上方修正したことによるアーンアウト債務・買収関連プットオプション再評価損68億円の計上(前年同期は評価益96億円の計上)。
  • なお、調整後当期利益(親会社の所有者に帰属)は、前年同期比33.4%増の271億円。

【当四半期の連結業績の詳細】
<地域別の状況(国内)>

国内事業 会社別売上総利益の状況(IFRSベース)

(単位:百万円、△は減少)

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※「地域電通」は100%連結子会社の電通東日本、電通西日本、電通九州、電通北海道の4社の合計。

顧客企業によるデジタルトランスフォーメーション需要により好調を維持したデジタルソリューション領域に加え、顧客企業によるマス広告出稿が四半期ごとに改善したことを受け、売上総利益は、コロナ禍の影響がほぼ無かった前年同期並みを確保した。会社別では、電通国際情報サービス(ISID)、電通デジタルおよびCARTA HOLDINGSなどが貢献した。構成比の大きい(株)電通の売上総利益は2020年度の13.2%減から大幅に改善し、当四半期は1.9%減に留まった。国内事業の第1四半期のオーガニック成長率はマイナス0.9%だったものの、月別で見ると、2月と3月はプラス成長、特に3月は1桁半ばのプラス成長となった。調整後営業利益およびオペレーティング・マージンは、コストコントロールの効果により、それぞれ大幅に増加した。

<地域別の状況(海外)>

海外事業 地域別の売上総利益・オーガニック成長率(△は減少またはマイナス成長)

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海外事業 サービスライン別の売上総利益・オーガニック成長率(△は減少またはマイナス成長)

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※顧客体験マネジメント(Customer Experience Management)

海外事業の売上総利益は、前年同期比で3.5%減(為替影響排除ベース△3.1%)、調整後営業利益は同41.8%増(同+49.7%)となった。地域別では下記の通り。

Americasの状況(売上総利益△7.5%、為替影響排除ベース△3.2%、オーガニック成長率△4.1%):
北米のオーガニック成長率は、前年同期がコロナ禍の影響が本格化する前であったにもかかわらず、CXMサービスラインの好調により、マイナス3.8%に留まった。特にマークル社の貢献が顕著で、コマースやD2C戦略を推進する顧客企業のファーストパーティデータ活用の需要増により、2021年度は大幅な業績改善を見込んでいる。米国のメディアサービスラインは、新規ビジネスの獲得、既存顧客企業との取引拡大および市場全般での顧客企業の広告需要増により、オーガニック成長率は一桁半ばのプラスとなった。クリエイティブサービスラインは、2020年度における顧客アカウントの喪失とそれに伴うイベント事業の減少により減少した。

EMEAの状況(売上総利益+0.3%、為替影響排除ベース△2.9%、オーガニック成長率△2.9%):
当四半期の業績は、欧州各地でコロナ禍の規制が続くものの、1月から3月にかけて月ごとに改善し、3月は3%超のオーガニック成長率となった。ドイツとスイスはプラス成長だったものの、他の国はマイナス成長であった。CXMサービスラインはほぼ前年同期並みだったが、メディアサービスラインは月を追うごとに改善した。クリエイティブサービスラインはマイナスではあったものの、関連するイベント事業を除外すると、ほぼ前年同期並みであった。

APACの状況(売上総利益△0.5%、為替影響排除ベース△3.1%、オーガニック成長率△3.1%):
1月から3月にかけて月ごとに改善し、3月はプラスのオーガニック成長率となった。当四半期において、インド、インドネシア、シンガポール、台湾は、プラスのオーガニック成長率を達成した。中国は3つのサービスラインにわたる、いくつかの新規顧客の獲得があった。クリエイティブサービスラインは、需要の回復により、ほぼ前年同期並みとなり、メディアサービスラインは前年を上回った。競合プレゼンの数は地域全体で増加傾向にあり、3つのサービスラインにおいて、より多くの新規アカウントの獲得を目指している。

【2021年度(2021年1月1日~12月31日)の通期連結業績予想】

2021年度はグループ全体にわたり好調なスタートを切ったが、主要市場のマクロ経済の不透明さに鑑み、通期のガイダンスは期初に掲げた「オーガニック成長率はプラス成長、オペレーティング・マージンは2020年度と同水準(為替影響排除ベース)」から変更しない。2021年度通期連結業績予想については、8月の第2四半期決算発表での公表を予定している。
今後も引き続き、中期経営計画(2021~2024年度)のターゲット「オーガニック成長率のCAGRベース 3〜4%、オペレーティング・マージンの漸進的な改善」の達成により、また「数年内での配当性向35%達成」に向けて漸進的な増配を目指す配当方針を掲げ、持続的な企業価値の向上を目指す。

【“包括的な事業オペレーションと資本効率に関する見直し”の進捗】

  • 「Integrated Growth Partner(インテグレーテッド・グロース・パートナー)」への進化を目的とした構造改革の1つの施策として、3月には国内事業のCX(カスタマー・トランスフォーメーション)とDX(デジタル・トランスフォーメーション)の領域を強化するため、株式会社電通デジタルと電通アイソバー株式会社を、また株式会社電通ダイレクトマーケティングと株式会社DAサーチ&リンクを、それぞれ2021年7月1日付で合併することを発表。
  • 本日、国内事業のBX(ビジネス・トランスフォーメーション)領域の強化のため、株式会社ドリームインキュベータと資本業務提携を発表。今後、同社は当社の持分法適用会社となる予定。
  • 資本効率の向上、財務体質の強化、および成長投資のための資金確保を目的に、保有する一部固定資産(電通八星苑と電通鎌倉研修所)の譲渡を2021年3月に発表。これにより、2021年度第2四半期に約300億円の固定資産売却益を計上する予定。
  • 2021年4月に政策保有株式の一部を売却。連結業績に影響無し。
  • 2020年12月に発表・着手した海外事業の構造改革では、当時保有していた160のエージェンシーブランドのうち50ブランドを削減済み。引き続き6つのリーダーシップブランドへの統合を進める。また、50以上の賃貸オフィスの見直しや人員削減を進め、想定より速いペースでコスト削減に成功している。
  • 連結全体では2021年度から約500億円、2022年度から恒常的に750億円のコスト圧縮を想定。
  • 電通本社ビル(汐留)については、引き続き活用・売却について検討中。

【参考資料】

売上総利益の各構成

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連結決算の範囲

(2021年3月末時点の会社数、カッコ内は2020年3月末)

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以 上

注記の詳細:

※1.「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー(CT&T)」は、当社が2021年2月発表の中期経営計画で示したマーケティング・テクノロジー、カスタマーエクスペリエンスマネジメント、コマース、システム・インテグレーション、トランスフォーメーション&グロース戦略などの事業で構成される新領域。

※2.「調整後営業利益」は、営業利益から、『買収行為に関連する損益』および『一時的要因』を排除した、恒常的な事業の業績を測る利益指標。『買収行為に関連する損益』:買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、被買収会社に帰属する株式報酬費用、完全子会社化に伴い発行した株式報酬費用。『一時的要因』:構造改革費用、減損、固定資産の売却損益など。

※3.「オペレーティング・マージン」は、「調整後営業利益÷売上総利益」で計算。

※4.「親会社の所有者に帰属する調整後当期利益」は、当期利益(親会社所有者帰属分)から、営業利益に係る調整項目、条件付対価に係る公正価値変動額(アーンアウト債務再評価損益)・株式買取債務に係る再測定額(買収関連プットオプション再評価損益)、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当などを排除した、親会社所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標。

(注)将来の事象に係る記述に関する注意
本資料上の業績予想については、現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断をしたものであり、潜在的なリスクや不確定要素等の要因が内在しています。そのため、様々な要因の変化により、実際の業績はこれらの予想数値と異なる可能性があります。

【リリースに関する問い合わせ先】
株式会社電通グループ グループコーポレートコミュニケーションオフィス
TEL:03-6217-6601 Email:group-cc@dentsu-group.com

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