2020年12月期連結決算(IFRS)および剰余金の配当に関するお知らせ

株式会社電通グループ(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:山本 敏博、資本金:746億981万円)は、本日開催の取締役会において、2020年12月期連結累計期間(2020年1月1日~12月31日、以下「当期」)の連結決算を承認しました。

【エグゼクティブサマリー】

  • 当期の連結業績は、コロナ禍の影響などにより、売上総利益は前年比11.1%の減少、オーガニック成長率はマイナス11.1%、調整後営業利益は前年比11.9%の減少。オペレーティング・マージンは、迅速なコストコントロール対応により前年並みの14.8%を維持。事業面では、デジタル領域構成比がグループ全体で53.9%へと拡大し、高成長領域への事業モデル転換が進展。
  • 一方、制度上の利益項目では、海外事業に起因するのれんの減損損失と、国内外での事業構造改革費用等の計上により1,406億円の営業損失、1,595億円の当期損失(親会社の所有者に帰属)となった。
  • 2020年8月に着手した“包括的な事業オペレーションと資本効率に関する見直し”から導かれた施策の1つとして、既に実施中の海外事業での事業構造改革に加え、本日「国内事業の構造改革」の概要を発表。当見直しに紐づくバランスシートの効率化や、株主価値の最大化に向けた施策もあわせ、新たな事業変革をベースに成長を描いた「中期経営計画 ―構造改革と事業変革による持続的な成長の実現―」も発表。
  • 中期経営計画と、その先の持続的成長を実現してくため、2021年3月開催の定時株主総会へ推薦する新任の取締役候補者として、電通インターナショナル社のグローバルCEOであるWendy Clark(ウェンディ・クラーク)を内定。
  • 株主価値向上の観点から、300億円を上限とした自己株式取得の実施を発表。

【当期の連結業績】

(△は実額がマイナスまたは減少)

release-2021006-1.png

※1.「調整後営業利益」は、営業利益から、買収行為に関連する損益および一時的要因を排除した、恒常的な事業の業績を測る利益指標です。『買収行為に関連する損益』:買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、被買収会社に帰属する株式報酬費用、完全子会社化に伴い発行した株式報酬費用。『一時的要因』:事業構造改革費用、減損、固定資産の売却損益など。
※2.「オペレーティング・マージン」は、「調整後営業利益÷売上総利益」で計算しています。
※3.「親会社の所有者に帰属する調整後当期利益」は、当期利益(親会社所有者帰属分)から、営業利益に係る調整項目、事業構造改革費用、関連会社株式売却損益、アーンアウト債務・買収関連プットオプション再評価損益、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当などを排除した、親会社所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標です。

<当期の連結業績のポイント>

・売上総利益(8,350億円、前年比△11.1%、為替影響排除ベース同△9.8%)

  • 売上総利益の減少の主要因は、買収効果(+138億円)、オーガニック成長(△1,039億円、成長率〈連結△11.1%、国内事業△8.4%、海外事業△13.0%〉)、為替影響(△143億円)。
    • 国内事業:デジタルソリューション領域は好調に推移したが、コロナ禍の影響もあり、マス4媒体市場が縮小し、減収(3,489億円、前年比△8.3%)。
    • 海外事業:コロナ禍の影響で、EMEA、Americas、APACの全地域がマイナスのオーガニック成長となり、減収(4,863億円、同△13.1%、為替影響排除ベース同△10.9%)。
    • デジタル領域構成比は大幅に拡大し、連結53.9%(前年47.5%)、国内事業34.8%(同29.3%)、海外事業67.5%(同59.9%)。

・営業損失(△1,406億円、前年の△33億円から1,372億円の損失拡大)

  • 調整後営業利益(1,239億円、前年比△11.9%、為替影響排除ベース同△10.6%)
    • 国内事業:減収による減益(627億円、同△20.3%)。オペレーティング・マージンは前年差270 bps減少の18.0%。
    • 海外事業:コストコントロールや構造改革の成果により為替影響排除ベースでは若干の増益(665億円、前年比△2.7%、為替影響排除ベース同+0.2%)。オペレーティング・マージンも同じ要因により、前年差150 bps増加の13.7%。
  • 営業利益調整項目(△2,646億円、前年差1,204億円の損失拡大)
    • 減損損失の増(+710億円)、事業構造改革費用の増(+587億円)などによるもの。

・当期損失(親会社の所有者に帰属)(△1,595億円、前年の△808億円から787億円の損失拡大)

  • 調整後当期利益(親会社の所有者に帰属)(698億円、前年比△8.2%)
    • 減少要因は、主に調整後営業利益の減少。
  • 当期利益調整項目(△2,294億円、前年差724億円の損失拡大)
    • 営業利益調整項目およびアーンアウト債務・買収関連プットオプション再評価損益によるもの。

・1株当たり配当:71.25円(中間47.5円、期末23.75円)(前期:95円)
 配当性向:28.5%(前期:35.1%)(基本的1株当たり調整後当期利益ベース)

【当期の連結業績の詳細】

<地域別の状況(国内)>
コロナ禍の影響は大きく、顧客企業によるマス広告出稿が大きく落ち込んだ。しかしながら、デジタルソリューション領域では、顧客企業によるデジタルトランスフォーメーション需要が継続しており、当期間を通して好調に推移した。会社別では、(株)電通が大幅な減収となったものの、電通国際情報サービス(ISID)や電通デジタルなどが貢献した。2020年2月から開始した迅速なコストコントロールと経費適正化、ならびに2017年度から実施している労働環境改革による生産性の向上などの効果はあったものの、減収を相殺するには至らず、調整後営業利益とオペレーティング・マージンは低下した。

第3四半期には、(株)電通において、社員に新しいキャリアの選択肢を提供することを目的とした早期希望退職プログラムを実施した。これを主な要因として、2020年度に国内事業として合計約240億円の事業構造改革費用を計上した。

国内事業 会社別売上総利益の状況(IFRSベース)

(単位:百万円、△は実額が減少)

release-2021006-2.png

※「地域電通」は100%連結子会社の電通東日本、電通西日本、電通九州、電通北海道の4社の合計。

<地域別の状況(海外)>

海外事業 地域別のオーガニック成長率

release-2021006-3.png

海外事業 サービスライン別の売上総利益・オーガニック成長率

release-2021006-4.png

※顧客体験マネジメント(Customer Experience Management)

Americasの状況:米国においてはCXM事業で、第4四半期にテック系顧客企業からの追加の受注があった。EコマースとD2C戦略を支えるファーストパーティデータに顧客企業の注目が集まっていることから、CXM事業とMerkleは2021年に向けての成長の兆しが見えてきた。メディア事業のパフォーマンス分野において、12月に顧客企業からターゲティング広告への出稿増があり、足元も順調だが、メディア事業全体では2020年度は年間を通して厳しいものであった。コロナ禍の影響でクリエイティブ事業はプロジェクトベースの受注が減少した。

EMEAの状況:第4四半期の業績は第3四半期までの傾向と大きな変化はなかった。CXM事業とクリエイティブ事業は比較的堅調に推移した一方で、屋外広告や経験マーケティング分野の収益は減少した。ロシアは、唯一のプラス成長地域となった。コロナ禍による規制の影響が大きく、フランス、ドイツ、オランダの不調は第4四半期まで継続。英国とスペインは、特にメディア事業の減収が顕著であった。

APACの状況:第4四半期においてプロジェクトベースのCXM、メディア、クリエイティブの各事業の受注が徐々に回復し、想定を上回る業績となった。オーストラリアの第4四半期はプラス成長となったが、中国はマイナス成長のまま推移した。インドは第4四半期にそれまでの四半期と比較して大幅な改善となった。

【2021年度(2021年1月1日~12月31日)の通期連結業績予想】

2020年に引き続き、2021年も未だ世界的に新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中で、とりわけEMEAおよびAmericasにおける複数の国・地域において依然として規制が続いている。当社グループの業績見通しの基礎となる世界経済のマクロ環境が極めて不安定であることから、現時点では2021年12月期通期業績予想の開示を控えることとした。
なお、2020年度第1四半期においてはコロナ禍がまだ本格化していなかったため、2021年度第1四半期は厳しい前年比較となる。このため、同第1四半期の連結オーガニック成長率はマイナスを見込んでいるが、第2四半期より再び成長に戻り、通期ではプラス成長になるものと予測している。オペレーティング・マージンは前年と同水準を見込んでいる。

【剰余金の配当】

release-2021006-5.png

※基本的1株当たり調整後当期利益と1株当たり年間配当金により算出

本日発表した中期経営計画において、2021年度以降の配当方針として、基本的1株当たり調整後当期利益に対する配当性向を今後数年で35%まで漸進的に高めていくこととしたが、2021年度の1株当たり配当は、業績予想が未定であることに伴い現時点では未定。

【参考資料】

連結決算の範囲

(2020年12月末時点の会社数、カッコ内は2019年12月末)

release-2021006-6.png

以 上

(注)将来の事象に係る記述に関する注意
本資料上の業績予想については、現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断をしたものであり、潜在的なリスクや不確定要素等の要因が内在しています。そのため、様々な要因の変化により、実際の業績はこれらの予想数値と異なる可能性があります。

【リリースに関する問い合わせ先】
株式会社電通グループ グループコーポレートコミュニケーションオフィス
TEL:03-6217-6601 Email:group-cc@dentsu-group.com

当社では、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、現在リモートワークを実施しております。
同期間のお問い合わせは、Eメールにてお願いいたします。

閉じる

このウェブサイトではサイトの利便性の向上を目的にクッキーを使用します。ブラウザの設定によりクッキーの機能を変更することもできます。詳細はクッキーポリシーをご覧ください。サイトを閲覧いただく際には、クッキーの使用に同意いただく必要があります。