2019年12月期連結決算(IFRS)および剰余金の配当に関するお知らせ

株式会社電通グループ(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:山本 敏博、資本金:746億981万円)は、本日開催の取締役会において、2019年12月期連結累計期間(2019年1月1日~2019年12月31日、以下「当期」)の連結決算を承認しました。

【決算発表のポイント】

  • 2019年度の連結業績は、前年比で増収、調整後の利益項目は減益となった。為替の影響とマイナスのオーガニック成長率の影響があったが、国内外ともに新規連結が寄与し、前年比で売上総利益は増加。一方、国内外での費用増により、調整後営業利益、調整後当期利益は減少。
  • 第4四半期は、前年比で増収、調整後営業利益は増益、調整後当期利益は減益となった。国内事業は大型イベントの貢献、コストマネジメントによる費用抑制により増収増益。海外事業は不振が続いたが、オペレーティング・マージンは前年同期並みを維持。
  • APAC地域(特にオーストラリア、中国)の不振と不透明感を反映し、事業計画を保守的に見積もった結果、「のれん減損損失」を認識。
  • 2019年12月公表の修正業績予想と比較すると、売上総利益と調整後営業利益は増加したものの、「のれん減損損失」の認識などにより、制度上の営業損益と当期損益は大幅に悪化し、損失を計上。
  • 2020年度の業績予想は、増収、全ての損益の改善を見込む。国内事業は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を背景に成長を見込む。オペレーティング・マージンは、2019年度に開始した海外事業の事業構造改革に伴うコスト低下により向上を見込む。

【2019年度(当期)実績】(△は実額がマイナスまたは減少)

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※1. 調整後営業利益は、営業利益から、買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、被買収会社に帰属する株式報酬費用ならびに減損、固定資産の売却損益などの一時的要因を排除した恒常的な事業の業績を測る利益指標。
※2. オペレーティング・マージンは、「調整後営業利益÷売上総利益」で算出。
※3. 親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は、当期利益から、営業利益に係る調整項目、関連会社株式売却損益、アーンアウト債務・買収関連プットオプション再評価損益、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当などを排除した、親会社所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標。

<当期の連結業績ハイライト>

  • 売上総利益(9,393億円、前年比+0.7%、為替影響排除ベース同+3.3%)
    • 売上総利益の増加の主要因は、買収効果(+398億円)、オーガニック成長(△99億円、成長率〈連結△1.0%、国内事業0.4%、海外事業△1.9%〉)、為替影響(△232億円)。
    • 国内事業:マス4媒体市場の減少による影響はあったが、デジタル領域での大幅増収と、グループ会社※の好調な業績および新規連結により増(3,803億円、前年比+3.0%)。
    • 海外事業:買収効果はあったものの、為替影響およびオーストラリアと中国の業績悪化によるAPAC不振の影響が響き若干減少(5,597億円、同△0.7%、為替影響排除ベース同+3.5%)。
  • 調整後営業利益(1,407億円、前年比△8.1%、為替影響排除ベース同△6.4%)
    • 国内事業:将来の成長に向けた費用投下等により減(724億円、同△9.7%)。
    • 海外事業:APACを中心とした既存事業の不振により減(683億円、同△6.3%、為替影響排除ベース同△2.5%)。
    • 調整後営業利益と営業利益の差は、減損損失(736億円)、買収に伴う無形資産の償却費(348億円)、事業構造改革費用(196億円)などによるもの。(P. 5参照)
  • オペレーティング・マージン(15.0%、前年差△140 bps、為替影響排除ベース同△160 bps)
    • 上記、調整後営業利益の要因と同様。
  • 調整後当期利益(親会社の所有者に帰属)(761億円、前年比△21.9%)
    • 減少要因は、主に調整後営業利益の減少。
    • 調整後当期利益と当期利益の差は、営業利益調整項目およびアーンアウト債務・買収関連プットオプション再評価損益。(P. 5参照)
    • 基本的1株当たり調整後当期利益は270.94円(前年は345.59円)。
  • 1株当たり配当:95円(中間47.5円、期末47.5円)(前期:90円)
  • 配当性向:35.1%(前期:26.0%)(親会社の所有者に帰属する調整後当期利益ベース)
  • 海外事業における企業投資・買収:13社(前年:30社)

※グループ会社:2019年12月まで(純粋持株会社体制移行前)の株式会社電通の連結子会社

<地域別の状況>

(国内)
売上総利益は、マス4媒体市場の減少による影響はあったが、デジタル領域での大幅増収と、グループ会社※の好調な業績および株式会社VOYAGE GROUPの新規連結などにより増収。特に第4四半期は、大型イベントを着実に収益へ結びつけ高い成長となった。調整後営業利益は、将来の成長に向けた費用投下(人材育成、IT基盤、デジタル領域のビジネス基盤など)により減益となったが、第4四半期のみでは増収要因に加え、コストコントロールによって大幅増益となり、オペレーティング・マージンは改善した。
※ グループ会社:2019年12月まで(純粋持株会社体制移行前)の株式会社電通の連結子会社

なお、国内事業の業務区分別売上高の状況は下記のとおり。

国内事業 業務区分別売上高の状況(IFRSベース)(単位:百万円、△は実額がマイナスまたは減少)

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※1. インターネット(旧集計)に加え、マスメディアに含まれるインターネット広告売上(2019年1-12月で6,848百万円)を加算し、重複計上した数値。
株式会社VOYAGE GROUPを連結した影響を除くと、インターネットの前年比(前年同期比)は2019年1-12月で+9.4%、2019年10-12月で+1.7%となる。
※2. IFRSベースでは、日本基準と売上計上のタイミングに差がある。上表では、株式会社電通(日本基準)と揃えて、IFRSベースとの差額は「連結調整等」で調整。
※3. 海外グループ会社への売上や会計基準の違いによる調整等を含む。
※4. 「インターネット」と各マスメディアで重複計上された数値。

(海外)
海外事業のオーガニック成長率は、2019年度(1-12月)は△1.9%、2019年度第4四半期(10-12月)は△4.0%となった。

海外事業はオーストラリア、ブラジル、中国、フランス、英国の5市場において不振が続いた。なお、これらの5つの市場以外では平均2.5%のオーガニック成長となった。
同市場での事業を成長軌道に乗せ、2020年度以降の海外事業のオペレーティング・マージンを向上させていくために2019年から7市場で事業構造改革に着手しており、2020年も継続する。この改革を通じて新しい事業モデルへの転換を図り、クライアント向けの統合ソリューション力を強化・拡充する。

2020年度は、海外事業全体の戦略として、今後提供するサービスが市場をリードし、世界水準の競争力を担保し続けるために、クリエイティブ、CRM(顧客管理)、メディアの3つの事業ユニット(ライン・オブ・ビジネス)から構成されるシンプルな組織に変更する。この組織再編はクライアントニーズを満たす設計とし、アイディアの駆使・データ基点・テクノロジーを活用した高度なソリューションでクライアントの事業成長に貢献し、当社グループの中長期的な成長へとつなげていく。

2019年度の海外事業におけるネット(増減の相殺後)の新規媒体取引獲得金額(年間ベース)は、43億USドル(2018年度:16億USドル)となった。クリエイティブ事業の新規獲得も前年を超え、CRM事業の新規獲得では過去最高を記録した。

2019年(2020年2月13日までを含む)までに13件の企業買収を実施(EMEAで3件、Americasで4件、APACで6件)。

海外事業における企業買収

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海外事業 地域別のオーガニック成長率(△はマイナス成長)

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  • EMEAの状況:年間では、ロシア、スペイン、スイスは一桁後半の成長、デンマーク、ドイツ、イタリア、オランダはプラス成長となった。第4四半期における主に英国とフランスの減収が影響し、通期でも地域全体がマイナス成長となった。
  • Americasの状況:Americasは海外事業の43%を構成し、3地域の中で一番成長している地域。新しいビジネスモデルを早期に導入した米国では、第4四半期に3.8%のオーガニック成長を記録した。
  • APACの状況:第4四半期もオーストラリアと中国での不振が継続した。オーストラリアではクライアントの喪失もあり、2020年度にも影響が出る見込みだが、同国では経営トップに就任したAngela Tangasが事業の安定化を図っていく。中国でも厳しい事業環境が続いているが、足元の社会情勢やマクロ経済の状況を勘案すると、2020年度にはさらなる悪化が想定される。インドは下半期に減速を見せたが、年間ではプラス成長を確保。また台湾とタイは、年間でマイナス成長となった。

<利益の詳細>

調整後営業利益から営業利益への調整額

(単位:百万円、△は実額がマイナスまたは減少)

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調整後当期利益から当期利益への調整額

(単位:百万円、△は実額がマイナスまたは減少)

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営業利益以下の損益項目

(単位:百万円、△は実額がマイナスまたは減少)

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【2020年度(2020年1月1日~2020年12月31日)の通期連結業績予想】

2020年度の連結業績は増収、増益を予想。制度上の損益は大幅な改善を予想。

(単位:百万円、△は実額がマイナスまたは減)

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2020年度業績予想に関連する想定

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上記の予想は2020年初来の新型肺炎コロナウイルスの感染が拡大する以前に計画した予算をベースに作成。新型肺炎コロナウイルスの感染拡大が中国を中心に世界の広告市場に与える影響については、現時点では不確定要因が多いため、上記の予想にはその影響が十分に折り込まれていない可能性がある。

【剰余金の配当】

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※2019年度は実績の調整後当期利益と配当に基づき、2020年度は業績予想の調整後当期利益と配当予想に基づき計算。

2019年度の剰余金の配当は、1株当たり第2四半期末の47.5円と、期末の47.5円を合わせ、年間配当95円とした。また、2020年度の配当予想についても、第2四半期末に47.5円、期末に47.5円と、年間配当で95円を見込む。

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