グローバルCEOメッセージ

五十嵐 博

株主の皆様には、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

2024年度は、海外事業でののれん等の減損を計上したことにより、2期連続で最終損失という厳しい結果となりました。
株主の皆様のご期待に沿う結果を実現できていないことについて、厳粛に受け止めております。
こうした状況を踏まえ、何としても海外事業を立て直すという強い覚悟のもと、2025年度以降の成長回帰を確実なものとすべく、2027年度までを見据えた新中期経営計画を策定いたしました。

新中期経営計画
過去のM&A偏重の成長戦略を見直し、当社グループが力強いオーガニック成長に回帰するために策定したのが、新たに発表した中期経営計画です。本計画の実行を通じて、事業ポートフォリオの見直しを行い、資本・人財を集中させ、競争優位性を回復することに注力します。

不振ビジネスの見直しと経営基盤の再構築
中期経営計画の目標達成に向けて当社グループがまず着手する取り組みが不振ビジネスの見直し・経営基盤の再構築を中心とした収益性の回復です。不振ビジネスの見直しにおいては、投下資本が大きく、複数年連続で最終赤字となったマーケットが当社グループの業績悪化の主要因となっている現状を踏まえ、スピード感を持って対策を進め、2026年度中に赤字マーケットをなくすことを目指します。また、過去の買収案件についても規律を持ってレビューを行っており、基準に満たない業績の事業は、改善策の早期実行・売却などを迅速に進めることで将来における業績悪化リスクを排除します。
これらを通じ、2026年度には海外事業が全体として株主価値向上に貢献している状態、2027年度には全4事業地域がそれぞれ株主価値向上に貢献している状態を目指します。
併せて、経営基盤の再構築を行い、計画的かつ持続的なコスト改善に取り組みます。具体的には、東京とロンドンに分散・重複していた本部機能の統合、各リージョン本部の役割再定義による業務簡素化、マーケットのコストコントロール等に注力し、AIやアウトソーシングの活用も含めた徹底的な効率化を通じて2027年度に最大で年間500億円規模のコスト削減効果を見込んでいます。

事業戦略のフォーカス
当社グループがクライアントに提供するサービスは、マーケティング、テクノロジー及びコンサルティングが融合する領域並びにスポーツ&エンターテインメント領域において、保有するユニークで多岐に渡るケイパビリティを統合し、クライアントの持続的な成長を実現する「インテグレーテッド・グロース・ソリューション」です。それを下支えする当社グループの強みは、日本での経験を活かしたクライアントビジネスへの深い理解に基づくマーケット毎のクライアントとの長期的な関係構築、クライアントの複雑なニーズに応えるマーケット毎の特色ある革新的なソリューションによる連続的なイノベーションの提供、それらを確実に実現し社会に大きなインパクトを生み出す人財、の3つです。本中期経営計画においては、これらの強みをベースに各マーケットにおけるクライアントのグロースパートナーとなることを目指します。そして、この成功を積み上げることでグローバルでの成長を実現します。

株主価値・資本効率を重視した経営及び財務方針
戦略と施策は利益成長を通じて中長期的な株主価値の向上を目指すものですが、その実現を確かなものとするため、ROEを経営指標に追加いたしました。具体的には2027年度にはROE10%台中盤の達成を目標としております。この目標達成を下支えするため、改めて財務方針を設定し、規律を持って管理・運用してまいります。キャピタルアロケーションにおいては、まず2025年度に実施する経営基盤の再構築に係る費用、及び事業成長のための内部投資を優先し、業績の再建を進めます。また、株主視点での経営を継続し、2025年度以降の配当方針としては、基本的1株当たり調整後当期利益に対する配当性向を35%とし、業績回復とともに安定的な配当を図ります。但し、構造改革費用投下が先行する2025年度は、一時的措置として、当期と同額の1株当たり139.5円を予定しております。買収などの投資は、2024年度以降抑制しておりましたが、従前より厳格な規律の下で、業績回復の進捗や見通しに応じて徐々に再開し、事業戦略に整合した案件を選択的に実施してまいります。なお、財務方針の管理・運用にあたっては、取締役会の諮問機関として2024年度に新設された、社外取締役を中心に構成されるファイナンス委員会と連携し全般的な財務規律を強化します。

ガバナンス及び内部統制の向上
当社グループは、One dentsuオペレーティング・モデルの適切な運用に向けて、グループ横断でのガバナンス体制の構築、責任者の明確化、事業運営の簡素化等を通じたガバナンス及び内部統制の向上に引き続き努めてまいります。当該取り組みの進捗については、取締役会等でも定期的に確認しております。

dentsuならではの発想力と実行力
dentsuならではの強みは、グローバルに活躍する多様な人財一人ひとりのクリエイティビティ、豊かな発想力と実行力です。そうした力を結集することで、私たちは、「人が生きる喜びに満ちた活力ある社会」の実現を目指していきます。顧客企業が直面する社会課題の解決、そして社会全体の持続可能な成長を目指すことで、社会的価値と経済的価値の両方を創造し、B2B2S(Business-to-Business-to-Society)カンパニーとして企業価値を最大化していきます。

株主の皆様には、引き続きご支援を賜りますよう、何卒お願い申し上げます。

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