リスク管理

リスク管理体制

電通グループの戦略や事業などを遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を 下表 に記載しています。

電通グループは、コーポレートガバナンス体制の下、経営目標の達成を阻害する将来の不確実な要因としてのリスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすための様々な対応をしています。

2021年度は内部統制・リスク委員会を3回開催しました。また、グループレベルのリスク管理については、7月以降、グループ経営会議で全社的な立場からリスクの評価や対応について定期的に議論することとし、その下部組織としてグループリスク会議を新設しました。

また、電通ジャパンネットワーク(DJN)と電通インターナショナル(DI)に各リスク委員会を設置し、グループレベル同様のリスク管理に取り組んでいます。2021年度は、DJNでは5回、DIでは4回の委員会を開催しました。

リスク管理プロセス

当社グループは、ERM(Enterprise Risk Management: 全社的リスクマネジメント)のアプローチを基軸に、グループ経営上重要なリスクを識別・評価しています。また、そのリスクの顕在化の予防と顕在化した場合の影響を最小化するため、リスク・スポンサーを選定し、リスク対応計画の策定と実施を委任しています。さらに、その対応状況のモニタリングをグループ経営会議で定期的に実施しています。

投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスク項目とその対応策

(1) 景気変動ならびにコロナ禍による社会的変革に伴うリスク 事業環境の変化に速やかに対応し、新たな事業機会を的確に捉えるための事業変革を企図した中期経営計画を2022年2月にアップデート、持続的成長を見据えた新しい経営方針「B2B2S」を提唱し、中期経営計画の戦略や目標を具体化
(2) 中長期の視点での新たなビジネス開発に伴うリスク 「カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー」事業と位置付けた、顧客企業の事業変革を支援する領域の強化による成長戦略の実践を上記中期経営計画の骨子の一つとし、同領域の売上総利益構成比を今後50%に高めることを目標として、その進捗を定期的にモニタリング
(3) 人財に係るリスク 従業員の声に耳を傾け組織課題の発見・改善を目指しグループ全体でエンゲージメント調査を実施。ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンをテーマにした人財育成プログラム、従業員一人ひとりの成長を促すリスキリングプログラムなどを提供。透明性と公平性を担保しながら、幹部職の後継者計画を推進
(4) 事業の構造改革に係るリスク 事業・競争環境の急速な変化に対応するための新たな構造改革を、DJNとDIにおいて実施し、その進捗を定期的にモニタリング
(5) 既存の広告業界の競争環境と構造変化に起因するリスク
 
①広告業界競合社との価格競争のリスク 顧客企業に生活者インサイトと統合されたソリューションによる高付加価値を提供することで競合社との差別化を図り、また強固な顧客企業との関係性を維持することで過度の価格競争を回避
②グローバル企業の扱い喪失リスク 同上
③メディア環境の構造変化に伴うリスク メディア環境の構造変化を商機と捉え、次世代のメディアに当社グループのリソースを柔軟に配分・投下し、常に最新の生活者の行動原理に合わせたマーケティングソリューションを顧客企業に提供
④他業種との競争の拡大 業界構造の変化を商機と捉え、広告マーケティングで培ったノウハウと、データとテクノロジーを融合して進化させ、コンシューマー・インテリジェンスを活用した統合ソリューションを提供するモデル確立を企図
(6) コンテンツ事業に係るリスク 多くのコンテンツ事業案件をポートフォリオとして管理し、コンテンツ事業のリスクを分散
(7) DI社に係るのれんおよび無形資産の減損リスク
定期的な減損テストに加え、2021年度に過去の海外投資の包括的なレビューを実施し、投資評価の枠組みを明確化
(8) 情報セキュリティ・サイバーセキュリティに係るリスク DJNとDIにおいて、サイバーセキュリティ専任部署を設け、安全性の確保と新しい脅威に対する対応を実施
(9) サステナビリティ課題に係るリスク 未来のすべての人々のために真に持続可能な価値を創造することを目指した「2030サステナビリティ戦略」を策定し、そこに掲げた環境および社会性指標の目標を達成する施策を推進
(10) 法規制・訴訟等に係るリスク  
①労働法規に違反するリスク 従業員一人ひとりが恒常的に良好なコンディションを維持できる労働環境を整えることを経営の最優先課題の一つとして取り組む
②個人情報等に係るリスク 国内・海外を問わず、個人情報保護法およびEU一般データ保護規則等の法令または諸規制を遵守し、また、これら法令・諸規制の改定に迅速に対応
(11) 災害、事故等に係るリスク 地域・市場毎に想定される災害や事故等に関わる問題に対し、DJNならびにDIのリスク委員会において、クライシス・マネジメントや事業継続計画(BCP)を定期的に検討