人財戦略
私たちの企業価値の源泉である多様な人財、その一人ひとりの価値最大化を目指しています。
Our People Policy
企業において「ひと」とはどのような存在であるべきでしょうか。電通グループは、「高いポテンシャルを持ち、自ら学び成長を志向する自律的な個人」と捉えています。個の成長なくして組織の成長はあり得ません。故に会社と個人は互いに成長にコミットし合う対等な関係にあり、多様な個人の可能性を最大限に引き出すことが会社の役割です。65,000人の個性が輝く場―これこそが、私たちが目指す「ひと」を大切にして育てる会社の姿であり、全ての取り組みの中心に据えている信念でもあるのです。
人財に対する取り組み
全ての人財が最大限成長できる環境を整え機会を提供することは、人事部門のみならず全社的な取り組みです。そのためTHE 8 WAYSの精神に根差した、積極的な挑戦・協働・成長を促す企業文化を土台として育むことが重要だと考えています。これは短期間で達成できることではありませんが、日々の従業員の体験(Employee Experience)の積み重ねこそが組織文化を醸成します。従って「個の可能性を広げられる体験」を活動に組み込んでいくことが、私たちの目標です。
まず素晴らしい人財に加わってもらうための活動(Attract)、全ての人が高いモチベーションで働ける環境を整備する活動(Engage)、そして個人とチームの成長を支援する活動(Grow)。全領域にわたり企業文化のけん引役となる優れたリーダー人財の抜擢と能力開発も重要です。これらの活動やデータドリブンな意思決定を支える情報基盤への投資も継続しています。このサイクルを回すことで個人と組織の成長を実現し、結果としてさらに多くの人財から選ばれる、そんな好循環を目指しています。
Attract
人財獲得競争はあらゆる業種、市場で激化しており、当社グループにおいても喫緊の課題の一つです。また中期経営計画が目指す事業変革を達成するためには、新たなスキルを備えた人財を増強することが求められます。市場ごとに異なるビジネスニーズと人財動向に対応するため、具体的な活動は多岐にわたりますが、人財獲得部門やリクルーターの充実、採用テクノロジーの導入、カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー領域の専門人財の獲得、といった点に注力しています。
ジェンダーなどのバイアスを排し、多様な人財に公平な機会を提供することも大切であり、採用担当者への教育を進めています。こうした取り組みを通じて女性管理職比率を向上させることにコミットし、中期経営計画にも盛り込んでいます。また電通インターナショナル(DI)ではデジタル教育プログラム「The Code」を通じて、様々なバックグラウンドの若者に就業体験を提供する活動にも取り組んでいます。
Engage
誰もが持てる能力を発揮しいきいきと活躍するためには、そのための環境を整え必要なサポートを行うことが欠かせません。その大前提は従業員のウェルビーイング、つまり心身共に良好な状態であることです。以前より日本で注力してきた働き方改革の取り組みはコロナ禍を経てグローバルに広がり、ウェルビーイングのために追加で休暇を取得できる制度が導入されました。同じくコロナ禍で表面化したメンタルヘルスの問題についても、Mental Health First Aid(心の応急処置を行う相談者)有資格者の育成や管理職向け研修などで対応を進めています。
またダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の領域でも、誰もが安心して自分らしく活躍でき、多様性をグループの力に変えることを目指したユニークな施策に取り組んでいます。例えば女性リーダー育成プログラム「Path of Tabei」では、国や会社が異なる参加者同士がバディを組み、共に成長を目指します。一方、電通ジャパンネットワーク(DJN)ではビジネスや政策、テクノロジーまで幅広い観点からDE&Iを扱ったトークイベント「DE&I WEEK」を実施し、グループ内の啓発に努めました。
これら施策への評価も含めた従業員の声に耳を傾けるため、グローバルエンゲージメント調査を実施しています。2021年度、DIでは過去最高スコアを記録し、厳しいビジネス環境の中でも良好な従業員エンゲージメントを確認することができました。DJNが初めて調査に加わり、グループ横断でデータ分析が可能になった点も大きな進歩です。すでに各社間でベストプラクティスの学び合いなど、自発的な協業が生まれています。
Grow
当社グループは「人が育つ企業」であり続けたい――これは私たちに一貫した想いです。その実現に向けて、学びのサポート、業務を通じた成長支援、グループ全体でのキャリア開発の3つの領域に取り組んでいます。
まず学びについては、オンライン学習プラットフォーム上にグループで合計10,000にも上るコンテンツを提供しています。この膨大な量は、DIが新設した「dentsu university」で実現することができました。またDJNでは「Re-Capability」と題したシリーズでグループ各社のソリューションや知見を繋ぎ、「インテグレーテッド・グロース・ソリューション」の実践に力を入れています。次に、個人の成長にとって重要な、日々の業務を通じた学びの支援です。具体的には、期初の目標設定に始まり、マネージャーとの1on1、期中・期末の多方向フィードバックなど、年間を通じた対話を促進しています。
最後にキャリア開発については、個社を超えたグループ全体で成長機会を設けることを目指しています。当社グループでは世界中に65,000以上の職務が存在し、すなわち65,000通り以上のキャリアパスが広がっていることを意味します。この無限の可能性に対して、国籍、性別、年齢、その他の属性によらず、誰もが公平な機会の下で十分に能力を発揮できる未来を目指し、職務・等級体系の整備を推進しています。もちろん仕組みだけではなく、幅広い職務への挑戦を実現するためのグループ内異動も支援しています。コロナ禍で一時中断していたDJNとDIの間の人財交流も今後増やしていく予定です。
Leadership
Attract、Engage、Growの全てにおいて、リーダーの関与は非常に重要です。リーダー自らが「ひと」に向き合い人財を育てる文化を根付かせていくことが、グループ全体の成長に繋がるからです。この考えに基づき、THE 8 WAYSの精神をリーダーシップ要件に落とし込み、リーダー人財のアセスメントや人財開発プログラムに反映しています。同時にグループの経営層を対象とした後継者計画も進めており、望ましい企業文化を体現するトップリーダー育成と経営基盤の安定化に努めています。
更に報酬面からもリーダーのコミットメントを支えるべく、制度を改定しました。役員報酬の評価基準として、エンゲージメントスコア、女性管理職比率、CO2排出量といった非財務指標を盛り込み、リーダー自らが従業員の成長と社会への貢献を実現する企業文化醸成の担い手となることを目指します。
Technologies & Data
当社グループのような人財が何よりも重要な業態では、人財に関する情報を正確に把握した上での戦略的な経営判断が求められます。また従業員一人ひとりが仕事を通じて望ましい成長を遂げるためには、個の状況やニーズに向き合った機会提供が重要です。つまり経営の視点でも従業員の視点でも、人財に関するデータの蓄積とその活用(分析、サービス提供)が要となるのです。私たちはこれまでも事業体ごとにタレントマネジメントシステムの導入や人財データ分析などに取り組んできましたが、今後はよりグループ全体を捉えたデータ基盤やシステムに投資していきます。グループを通じた人財情報の可視化、業務効率化を皮切りに、将来的には約65,000人の従業員のキャリア支援のツールとして発展させていく構想を持っています。