カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー(CT&T)

カスタマーエクスペリエンス(CX)から見えるブランドロイヤルティと競争優位の未来

カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー

コロナ禍後の社会では、私たちの顧客企業と彼らの顧客基盤である生活者とのやりとりや接触方法が大きく変化しました。企業は数多くのコンタクトポイントを通じて、説得力のある一貫したブランドストーリーを生活者に伝え、彼らが商品の購買に至るまで、またそれ以降も高い満足を得られる体験を生み出すことが必要になっています。すなわちカスタマーエクスペリエンス(CX)の重視です。

今後5年先、あるいは10年先の変化を見越してみると、このことは電通グループの戦略の正しさを裏付け、事業の方向性を導く3つのマクロな傾向が見えてきます。

  • コロナ禍後、生活者は自身のライフスタイルを見直し、一方、企業はテクノロジーやデジタルトランスフォーメーションによる生活者との新しい関係づくりを模索。
  • 個人情報保護に対する生活者のニーズが高まっていることもあり、企業はテクノロジー、データ&アナリティクスを活用したD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の構築を推進。
  • 生活者は、企業による社会への貢献をより強く要望。

社会のデジタル化とデータテクノロジーの進歩によって、企業は生活者に関する深いインサイトをリアルタイムで得られるようになっています。利用可能なデータも、商品の検討から購入にいたるカスタマージャーニー全体において広がり、電通グループもそのケイパビリティを、広告やマーケティングコミュニケーションの領域をさらに超えて拡張できるようになりました。

CXは、各企業のCEOにとって、経営会議で検討すべき重要事項のひとつとなっています。コロナ禍を経て、その傾向はさらに強まっています。電通グループのサービスやソリューションも今では、従来の当事者、すなわち顧客企業のマーケティング責任者だけでなく、経営幹部全体を対象としたものになっています。

CX指向型企業は・・・
出典:PR Newswire、Forbes.com、Adobe、Gartner

当社グループは常にマーケティングパートナーとして、顧客企業の事業成長支援を優先してきました。非常にユニークなエージェンシーとコンサルティングのハイブリッド企業として顧客企業の組織と深く関わりながら、データやテクノロジーを活用することでCX指向型企業への変革を促し、ブランド認知、顧客維持率、顧客満足度を高め、収益の成長を加速させることができます。

私たちは、生活者を熟知し、深化したマーケティングスキルを持ち合わせていることから、従来的なコンサルティングファームとは異なり、顧客企業の事業成長と企業価値向上を実現することが可能です。また、競合の広告代理店に対しても、はるかに大規模で精密なデータやテクノロジー活用のケイパビリティを持っています。デジタル化が加速する社会において、マーケティング・コミュニケーションとカスタマートランスフォーメーション&テクノロジー(CT&T)をグローバルに統合できる数少ないパートナーです。つまり、多様なケイパビリティの統合と円滑なソリューションの提供こそが、電通グループの差別化と競争優位性の源泉です。

カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー(CT&T)

CT&Tは、あらゆる産業のリーディングカンパニーが持つデータ、テクノロジー、組織のケイパビリティを変革し、他社が真似をできないCXを実現します。それには、商品の認知獲得から購入検討の促進、さらにはカスタマーサービスやロイヤルティプログラムに至るまで、生活者のライフサイクル全体に広がる、体験のすべてを統合する必要があります。各企業は今後、生活者にとってよりパーソナライズされたCXを提供し、広告メッセージを身近に届けることで、より積極的に優良顧客の獲得に取り組んでいくでしょう。

そのような見通しからも、CT&T領域は電通グループが位置する業界において、構造的な成長が期待される分野と考えられています。今後数年にわたって1桁後半から2桁%の成長が続くと予想されています。CT&T領域から生じる売上総利益は、2021年度には、電通グループ全体の29.1%に達しました。今後数年をかけて、この構成比を50%に引き上げることを目標に掲げています。

CT&T領域の成長は、今後、既存事業によるオーガニックな成長に加え、2022年2月に発表した2,500~3,000億円規模を原資としたM&Aによって推進される計画です。我々がM&Aの対象とする企業は、高成長かつスケール可能な企業に絞られています。その方針を実行に移した一例が、2021年度のLiveAreaの買収でした。LiveAreaはコマース領域のコンサルティング事業です。コマースプラットフォームのデザインと構築、ならびに継続的な運用サービスを提供しています。

CT&T領域の中核となるMerkle、ISID、電通デジタルを合計した過去3年間の年平均成長率は20.8% (為替影響排除ベース)

・25年の歴史をもつピープルベースのマーケティングとデータドリブンかつテクノロジーを駆使したソリューションにより、事業成長に直結する効果の高い顧客体験を実現
・社会や企業のデジタルトランスフォーメーションを、確かな技術力と創造力で支援する先進的なITソリューションを提供
・金融業、サービス業、流通業など幅広い業種の業務支援に強み
・デジタルマーケティング全般にわたる統合ソリューションのリーディングカンパニー
・コンサルティング、開発・実装、運用・実行支援の統合ソリューションを提供

同社の2021年度のオーガニック成長率は30%を達成。インドとブルガリアにオフショアの拠点を持ち、主要なテクノロジーパートナーと電通グループの関係強化に大きく貢献しています。

生活者の満足度を高める上で、企業は、CXを支える先進的なテクノロジーを自分たちで理解するだけではなく、それらを活用、統合、最適化し、シームレスな体験を実現できるパートナーを必要としています。電通グループとテクノロジー企業との協力関係は規模も大きく、私たちにとっての競争優位性の一つになっています。

CT&T領域の成長により、電通グループの顧客企業への提供価値、収益構造、コスト構造を変革していきます。

  • ケイパビリティの拡充
    顧客企業のより大きな課題を解決するソリューション
  • 構造的成長
    高成長領域における、より堅調な収益基盤を土台とした事業拡大
  • 既存サービスへの波及効果
    メディア、クリエイティブサービスとの相互的な支援
  • リカーリング(恒常的)収益
    顧客企業への経常的なサービス提供によるリカーリングモデルの実現
  • マーケティングを超えた顧客との関係構築
    既存顧客との新たなビジネス機会の創出
  • 構造的なコストの低減
    ニアショア・オフショアでの就業者数比率上昇による高効率なサービス提供

インテグレーテッド・グロース・ソリューション

多様なケイパビリティの統合、すなわち、インテグレーテッド・グロース・ソリューションの提供が電通グループのビジョンの中心であることに変わりはありません。

私たちは、顧客企業のブランド育成を通じたビジネストランスフォーメーションから、生活者からのカスタマーロイヤルティ向上とコマースの推進につながる、クリエイティブかつ一貫したエクスペリエンス・トランスフォーメーションやテクノロジー・トランスフォーメーションまで、多様なケイパビリティを土台とした統合ソリューションを提供することが可能です。グループ全体のケイパビリティを統合することで、マーケティングコミュニケーションの領域を超え、顧客企業の事業成長を実現していきます。

このように電通グループのケイパビリティは、オペレーションに主眼を置いたものから、より大きな価値をもたらす戦略的なものへと発展しました。この状況は、データ、クリエイティビティと一体化したテクノロジーとイノベーションによって、顧客企業の事業成長を実現する、その結果、電通グループ自身も大きな成長を実現する、というビジョンを反映しています。

電通グループのソリューションのさらなる進化

120年以上の歴史の中で、電通グループのケイパビリティとソリューションは拡大を続け、社会の変化に対応することで、常に競合他社に先駆けて価値創造に取り組んできました。データが社会の共通言語となり、多様な専門チームのサービスを統合することが、今まで以上に重要な意味を持つようになっています。今後も、顧客企業のより大きな課題を解決するソリューションを提供し、事業の成長を支援していきます。