中期経営計画

電通グループの人財戦略

電通グループは、従業員一人ひとりがスキルを伸ばして十分にポテンシャルを発揮できるよう、全力でサポートします。具体的には、従業員個々人の成長支援のための目標設定と評価の仕組み、きめ細やかで適切なフィードバック、キャリア開発と学びの機会、定期的な面談等を通し、従業員自身がグループ内でのキャリアアップを主体的に行える環境整備を目指しています。そうすることで、誰もが持てる力を最大限に活用できるようなポジティブな企業文化の醸成に努めています。

また、電通グループでは「THE 8 WAYS」に基づくリーダーシップモデルを開発し、従業員に期待される行動を明示するように取り組んでいます。これは、管理職層に限らず、キャリアのどの地点においても、一人ひとりがそれぞれの職務に応じた役割や期待値を理解することを目指すものです。特に、THE 8 WAYSの一つである「WE ALL LEAD」はグループ従業員誰しもに求められるものとして、重要な意味を持つと考えています。

更に、従業員の能力・資質に応じたキャリア開発と次世代リーダー育成プログラムを活用し、従業員の成長と持続可能なビジネス基盤・人財を担保することに注力しています。これらの人財戦略は、人財データとその分析、活用により支えられており、グループ全体の人財パイプライン、グループ内人財流動性、リソース配分等の最適化を目指した取り組みに活かされています。

グループ全体を視野に入れたキャリア開発

電通グループでは、職務・等級の枠組み(キャリアフレームワーク)整備を進めており、グループ全体を視野に入れたキャリア開発支援、リソースマネジメントを目指しています。グループ内に、どのような職種が存在し、どのようなスキルや経験が必要となるかを明らかにすることで、グループ内の協働を促進する効果も期待されます。現時点では電通インターナショナルを中心に展開していますが、今後はグループ全体に広げていくことを構想しています。先行して導入されている各社では、従業員の職務を分析して「ジョブファミリー(職種群)」として整理することで、キャリア開発の選択肢を広げることができました。これらの取り組みを推進することで、グループ内の誰もがスキルと希望に基づいた新たな機会に向けて努力することができるようになります。電通グループは、キャリアフレームワークを活用し、優れた要員計画の策定や人財マネジメントの実現、そして従業員の能力と強みの最大化を目指します。

データとインサイトによる従業員理解

電通グループは、従業員の声を重視しています。そこで私たちが行っているのが、全世界の従業員を対象としたエンゲージメント調査「Check In」です。この調査を通じて、各従業員が声を伝える機会、そしてリーダーがチームメンバーの声を拾い上げ、組織の動向を把握できる機会を提供しています。これらはすべてグループ共通のプラットフォーム上で行われ、全社共通の質問票に基づいた網羅的なデータを得ることが可能です。このような統合アプローチをもって、グループ単位で質の高い人財インサイトを得ることを目指しています。

コロナ禍において優先すべきは従業員

新型コロナウイルスが感染拡大する中、電通グループは従業員の健康と安全を最優先に、多様なコミュニケーションチャネルを活用した従業員サポートに注力してきました。テレワークの実施、ITを活用したリモート環境下での業務支援、学びを促進するコミュニティの提供や、これから求められる支援に関する従業員ヒアリングの実施等、広範囲なサポートを展開しています。

世界を襲ったコロナ禍により、「仕事をしている状態」と「仕事から離れている状態」の境界は曖昧になり、そしてその両者の作用により社会が大きく変化してきたことは言うまでもありません。私たちの「仕事」や「働き方」への認識や理解についても根底から変わりました。

2021年には、多くの拠点のオフィスが再稼働するものと思われます。激変した環境下においても従業員が活躍できるよう、私たちは働き方改革を進め、従業員の心身の健康をサポートするべく尽力していきます。多くの拠点で都市封鎖等の影響を受け、出社がままならない状況が続く中、オフィスでの業務再開と変化した職場への適応は、多くの従業員にとって少なからず負担をかけることになります。それらを念頭に置いた上で、私たちは一丸となって慎重に、新たな働き方、学び方、コミュニケーションのあり方をつくり上げていきたいと考えています。

私たちはまた、ありたき企業文化の実現に向けて自らの変革に取り組んでいます。協働の促進、スピードと柔軟性、多様性とインクルージョン、「良き企業市民」としての心がけ、結果や成果物に対する明確な説明責任、これらすべてが一体となって、従業員一人ひとりのあり方、およびグループ全体としてのあり方を形づくります。そして、それこそが継続的な企業変革における重要な要因であり、従業員、顧客企業、私たちの事業、そして社会全体にとって価値ある進化を実現する機会になると確信しています。