事業紹介

電通インターナショナル

Message

統合による変革

(株)電通グループ 取締役執行役員
電通インターナショナル社 グローバルCEO

ウェンディ・クラーク

電通インターナショナル(以下DI)は、世界で最も統合されたメディアとデジタルマーケティングコミュニケーションサービスを提供するネットワークへ変革を遂げようとしています。その実現のため、私たちは事業構造の簡素化を徹底的に推進し、また顧客企業に最適なチームを編成して専門的知見、商品・サービス、業界トップレベルの生活者インサイトを提供していきます。

変革には時間を要しますが、これまでに着実な成果を上げることができました。私は電通グループの海外事業を統括するDI(旧電通イージス・ネットワーク)に2020年9月に入社しましたが、先行きの見えない中、顧客企業に貢献し、互いをサポートしながら数々の実績を生み出してきた優秀な約44,000名の従業員と共に仕事ができることをとても誇りに思っています。

人財

リモートワークは長期に及んでいますが、チームの結束は変わっていません。2020年11月に実施した従業員エンゲージメント調査では、過去3年間で最高のスコアを記録しました。これはDIの従業員の回復力の強さ、そして開かれたリーダーシップの証左だと考えています。

2020年は社会における不平等に大きな注目が集まった年となりました。私たちはポジティブな変革を推進してきましたが、自らの組織も改めて見直す必要があると考え、数々の取り組みを行いました。具体的には、各地域でチーフ・エクイティ・オフィサーを任命、またトップ900名の管理職を対象にした包括的なリーダーシップ研修と全従業員を対象にした具体的な行動指針に関する研修を実施しました。私たちは、2025年までに組織内のあらゆる階層において適切なジェンダーバランスを実現していきます。

人財は私たちのビジネスにおける強さの源泉です。私たちは従業員の能力開発と成長をサポートするため、グループ横断のキャリアフレームワークを構築してキャリアの機会を広げ、流動性を高めました。そして、きめ細かい人財開発プログラムを導入して32,000名が参加するグローバルな学習コミュニティも展開しています。また従業員の心身の健康は私たちの最重要事項であり、ロックダウン等による影響を引き続き注視しながら、従業員のメンタルヘルスやウェルネスのサポートに投資していきます。

私たちは、世界中の優秀な人々が働きたいと考える企業であり続け、また優秀で多様性に富んだ人財を確保・保持できるよう、全力で取り組んでいきます。

顧客企業と私たちが提供するサービス

私たちは、世界の広告主トップ100社のうち95社を顧客企業に抱えており、自社で実施している最新の顧客企業満足度調査では、過去最高のスコアを記録しました。今後、この顧客企業との間に構築した強固な関係を更に広げ、深めていきます。

加えて、私たちはMediaPost Holding Company of the Year 2020(電通グループ)やスパイクスアジアの2020 Network of the Yearの受賞、ガートナーによるCXMのトップ企業認定(マークル社)、Forresterによるデジタル・エクスペリエンスのトップ企業認定(Isobar社)など、数々の栄誉に輝きました。これらはDIが提供するサービスの質の高さを示すものであり、新規顧客企業や人財の獲得にもつながっていくと考えています。

事業変革と組織の簡素化

顧客企業が広告業界に求めることは不変です。それは、一緒に仕事がしやすく、機動力の高い存在であることです。そのため、私たちは2022年末までに傘下160のブランドを6つのグローバルリーダーシップブランドに統合することを決定しました。変革を加速させて持続可能な成長につなげるため、重複を排除したコスト削減と競合他社を超える業績を実現し、2022年までの目標として掲げたオペレーティング・マージン15%(海外事業)を達成していきます。

持続可能性

DIは2020年9月に海外事業全体で使用電力を100%再生可能エネルギー(但し、RE100基準において)とするRE100を達成しました。総合広告代理店ネットワークとしては初の快挙です。また、SBTイニシアチブ認定の2030年目標の達成に向け、CO2排出総量を2030年までに46%削減し、ネットゼロエミッションを達成することを総合広告代理店ネットワークとして初めて約束しました。

更に、国際的NGOであるカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)の審査で、広告業界最高の「A-」評価を受けました。

私たちは業界リーダーとして、常に社会への貢献という観点から考え、行動していきます。

RE100に準拠するためには、エネルギーを使用する国内でエネルギーを購入することが求められます。しかしながら、電通インターナショナル社の電力需要の9.7%を占める9つの市場(ロシア、台湾、シンガポール、ニュージーランド、香港、ケニア、スリランカ、ガーナ、アルゼンチン)においては、電通インターナショナル社が管理できない要因により、国内で再生可能エネルギーを調達することができませんでした。そのため、可能な限り隣接する国で再生可能エネルギー証書(REC)を購入し、RE100が暫定的な手段として認める方策を採用しています(RE100のガイダンスに沿って、欧州経済地域を単一市場とみなして報告しています)。

今後の展望

今後は明るい展望が開けると考えており、戦略の実行と変革推進を通して持続的成長を実現していきます。具体的には、引き続き傘下ブランドポートフォリオの統合・最適化を行いながら、データとインサイト、商品・サービスとプラットフォーム、そしてプロセスと人財を一つの環境下に統合し、カスタマージャーニー全体をつなぐテクノロジープラットフォームを開発していきます。そうすることで、より高次の機動力、協働力、イノベーションを顧客企業に提供していきます。

まだまだ多くのチャンスがあり、私たちの更なる活躍の場が広がっています。私たちは正しい方向に向かっており、満足できる結果も出ています。これからも前進あるのみです。

Performance

電通インターナショナル 売上総利益
電通インターナショナル 調整後営業利益/OPM

OPM:オペレーティング・マージン

3つのサービスライン

データとテクノロジーを活用した
ブランド構築とコンテンツ・ストーリー開発

電通インターナショナル社
メディア&グローバルクライアント
グローバルCEO

ピーター・ハイブーン

メディアサービスラインでは、メディア統合プランニングやメディアバイイングサービスを提供し、グローバルエージェンシーとして数々の賞を受賞しているカラやiProspect、dentsuXを擁しています。私たちは、多くの顧客企業のマーケティング投資額に占める構成比が最も高いメディアの効果を高め、顧客企業の業績に貢献するための体制を整えています。生活者に幅広いブランド体験を提供するためのメディアの選択肢は、これまでになく広がっています。同時にそれは、コミュニケーション環境がより複雑になっていることを意味します。

 

メディアサービスラインでは、独自手法によってターゲットオーディエンスを理解し、データやテクノロジーが大きな役割を果たし、また規制が強化されるメディア環境下でも、顧客企業に投資効果をもたらすことを強みとしています。創業時よりメディアとの関わりが最も深い私たちは、精度の高いデータとテクノロジーを活用し、ブランド構築、そしてコンテンツとストーリー開発サービスを提供しています。

2020年、メディアサービスライン傘下のエージェンシーが、最も信頼されるグローバルメディアエージェンシーランキングの多くで上位に輝きました。Forresterはカラをリーダーに選定、そしてRECMAはdentsuXを最も急成長を遂げたグローバルエージェンシーネットワークに選出しました。また、同3月より、iProspectはパフォーマンスマーケティングとブランド構築を提供する統合メディアエージェンシーとして、新たに出発しました。世界の広告主トップ100社のうち95社を顧客企業に持つ電通グループは、COMvergenceの2020年度グローバル新規ビジネス獲得ランキングにおいて2位となりました。

コロナ禍で生活者のデジタル化が急速に進んだ現状を、私たちはチャンスと捉えています。顧客企業の成長や社会の変革に対し、メディアがこれほど力を発揮できる時代はありません。

経済の回復とともに顧客企業のメディア投資額の増加が期待されています。私たちは、強い提案力で積極的に新規ビジネスを獲得し、シェア拡大を図っていきます。また収益モデルを進化させ、顧客企業がグローバルでスケールメリットを享受できるようにメディアエージェンシーを3つに集約し、業務プロセスやサービス提供方法を共通化して、効率化を高めていきます。

私たちは変革の中、メディアサービスを通して、顧客企業、パートナー、株主、従業員、そして社会全体に意義ある発展を提供していきたいと考えています。

クリエーティビティも、
オンデマンドへ

電通インターナショナル社
クリエーティブ
グローバルCEO

ジーン・リン

2020年は大変革が起きた一年となりました。コロナ禍でリモートワークへのシフトや消費行動のデジタル化が進む中、私たちは顧客企業に対して持続可能なブランド構築をサポートし、またオンデマンド型の新しいチーム構築モデルを始動させました。

クリエーティブサービスラインでは、AIを活用したクラウドベースの画期的なコンテンツソリューション「Content Symphony」をグローバルで導入し、顧客企業ブランドに対して統合的な制作サービスを提供しています。具体的には、AIを活用したプラットフォームで世界中の制作拠点をつなぎ、顧客企業ブランドがターゲットとする生活者が、そのブランドとのあらゆるタッチポイントにおいて、高度にパーソナライズされ、また居住エリアに合わせて最適化されたコンテンツを通して、一貫性のあるブランド体験ができるようにしています。

この「Content Symphony」導入により、私たちのチーム構築モデルは、オンデマンド型へと変革を遂げました。オンデマンド型では、顧客企業の長期的戦略パートナーとして培ってきた顧客企業に対する深い知見は活かしながら、電通インターナショナル社のクリエーターが地球上のどこにいようと、創造力と才能を存分に発揮できるチームを組成します。私たちは、2020年度末にアメリカン・エキスプレス社とグローバルにおけるクリエーティブ契約を締結することができましたが、このオンデマンド型のチーム構築が成果へと着実につながっています。

信念と行動を一致させ、成長と社会貢献を両立させる、アイディア主導のブランド体験

2020年は、徹底した透明性が求められた年でもありました。ブランドのふるまいにこれまでになく厳しい目が向けられてブランド体験の重要性が増し、ブランドの成長には、社会貢献との両立が不可欠となりました。信念と行動の一致、すなわちブランドが生活者や従業員、コミュニティに対して掲げる約束と、その実現において、一致した行動を取ることも求められています。

ブランドは、データとテクノロジーを活用してパーソナライズされ、アイディアでつながったクリエーティブ体験によって構築されます。私たちの2つのグローバルリーダーシップブランドである電通マクギャリーボウエンとIsobar社は、顧客企業にそのようなアイディア主導でブランド体験をつなぐサービスを提供しています。

顧客企業は、大きなビジネス課題に対し、想像力を持って共創しながらクリエーティブに解決することができる統合力の高いチームを求めています。そのチームメンバーが地球上のどこにいようと、もはや関係ないのです。

コネクティッド・カスタマー・エクスペリエンス

電通インターナショナル社
dentsu CXM グローバルCEO
マークル社 グローバルCEO

クレイグ・デンプスター

ブランドが成功するには、マーケティング、セールス、コマース、サービスのすべてをつなぐ卓越した顧客体験の提供が欠かせません。この「コネクティッド・カスタマー・エクスペリエンス」は、今後データやテクノロジーの活用により、益々高度にパーソナライズされていきます。顧客体験マネジメント(CXM)のサービスラインでは、私たちの知見やデータから導き出したインサイトを基に、ターゲティングされた生活者に対して個別にブランドと接する瞬間(ブランドモーメント)が提供できることが強みです。複数のタッチポイントにおけるブランドモーメントの蓄積が顧客体験となり、やがてブランドと生活者の関係を長期的に構築するロイヤリティの醸成やファン育成へとつながっていきます。

CXMはマークル社を中心として電通インターナショナルの中でひときわ著しい成長を遂げており、この4年間で収益は倍増しました。CXMでは、スキルの高いマーケティングチームが顧客企業個別のニーズや課題を把握した上で、競争優位を生み出すソリューションを提供しています。マークル社は、米州、EMEA、APACに拠点を置き、グローバルな顧客企業に対して各市場のニーズや法規制に対する深い知見を提供し、高い評価を得ています。

私たちは、ファーストパーティデータとID統合、データ管理、マーケティングテクノロジー、データサイエンス、ロイヤリティ、CRM、パーソナライゼーション、コマース、顧客体験、コンサルティング、パフォーマンスメディア、またクリエーティブサービスを組み合わせたサービスを提供しており、コロナ禍やサードパーティクッキーの衰退、プライバシー保護への関心の高まりなどの市場の環境変化にも関わらず、過去30年間継続してオーガニック成長を遂げてきました。

デジタルトランスフォーメーション領域において新たな競争力を獲得するための勝利の方程式は、データトランスフォーメーション+デジタルトランスフォーメーション=顧客体験トランスフォーメーションです。更に、私たちが提供する価値を強化するのが、グーグル、アドビ、セールスフォース・コム、AWSなどとの提携です。これらパートナー各社との提携により、統合的な顧客体験を実現するテクノロジーやクラウドサービスの成長を享受しながら、高度にパーソナライズされたブランドの顧客体験を提供しています。

CXMサービスラインでは、下記3領域を中心にサービスを提供しています。

  • データトランスフォーメーション
    プライバシー保護を担保した上でデータを取得・管理・分析し、リアルタイムで顧客体験を把握するための価値あるデータとして有効化。ひとりの生活者に関する様々なデータを、そのひとりのIDに紐づけることが、すべての出発点になります。マーケティング、セールス、コマース、サービスのすべてにまたがってファーストパーティデータを取得することで、特定の生活者の全体像を把握することができます。
  • デジタルトランスフォーメーション
    企業が顧客・生活者中心にビジネスを組織し、市場機会や顧客ニーズの変化への対応を可能にするシステムに刷新。個別、また状況に応じた顧客体験の提供が可能となり、長期的な関係構築を促進します。
  • 顧客体験コンサルティング
    顧客企業が顧客体験トランスフォーメーションを進めるにあたり、ビジョンを策定する戦略的コンサルティング。顧客企業ブランドのパートナーとして、顧客体験の枠組みと顧客体験の提供に欠かせない組織的・技術的要素のコンサルテーションを行い、競争優位をもたらします。

今後もCXMでは、顧客体験トランスフォーメーションに寄与する新たな手法の開発を続けていきます。私たちは高度にパーソナライズされた顧客体験領域においてマーケットリーダーになることを目標に、収益、コスト削減、競争優位、そして株主利益に直結した成果を求めるCEOを始めとした経営陣の皆さまに必要とされるサービスを提供していきます。