戦略

Japan business 4コミュニケーションデザイン

コミュニケーション デザインセンター長 樋口 景一

コミュニケーション
デザインセンター長
樋口 景一

電通は「課題解決産業」に

企業やブランドが抱える諸問題は複雑化し、マーケティング側面からの捉え方だけでは解決できない状況です。むしろより大きな社会課題を発見し、そこに対応することで、結果として企業課題が解決され、ブランド課題が解決されるようになっています。
この変化により、電通に求められる役割は従来の広告コミュニケーション領域から、より広範な課題解決へと広がっています。電通は今や「課題解決産業」と言うべき領域に踏み出しています。

課題解決産業は、これから最も大きく伸びていく産業の一つです。世界は課題にあふれており、しかもそれを解決できるプレーヤーの絶対数は少ない。私はこの領域において、電通が大きなアドバンテージを持っていると思います。その根拠は次の三つです。

一点目は経験値です。「課題先進国」と言われる日本では、世界が現在あるいは今後直面する多くの社会課題を先行して経験しています。電通は約6,000 のクライアントを通じて、20年以上これらの課題に向き合っており、その経験の蓄積は世界中で応用が効くものです。

「問題点の指摘業」ではなく、「チャンスの発見業」

二点目は、ものの捉え方です。企業においても、あるいは国・地域でも、本来のポテンシャルが生かされてない、すなわち本来は資産になるべきものが負債になっているケースが多くあります。批判をもとに縮小ばかりを担うプレーヤーが多い中、電通は真逆のアプローチをとっています。
それは、そのものが持っている本当のポテンシャルを最大限リスペクトし、それが発揮できる状態にしていく、つまり再資産化を行うものです。これにより、問題へのネガティブな捉え方ではない、いわば「チャンスの発見」を行っています。

再資産化のように前向きな解決策には「参加したい」「関わりたい」という人が次々に集まり、場が生まれていきます。このように、課題解決に自ら参加したい企業群や企業内個人、そして生活者のモチベーションを持続させ、拡大させていく「気持ちのデザイン」は、活動の持続可能性を高める鍵であり、今後は一層重要になっていくと私は考えています。

洞察の深さがよいアイデアにつながる

三点目は、アイデアです。よいアイデアとは、真に課題解決となるべく、人間の意識と行動の深層にいかに迫れるかということ。電通は広告業で培った洞察力を武器に、課題を表層で扱うのではなく、人間の深層から捉え、本質的な解決に向かいます。
例えば表層的には教育問題に見える、企業活動の停滞に見える、という場合でも、コミュニティ不在が本質的原因であると設計できれば、スポーツを導入することで効果的に解決する、ということがあります。表層的に諸問題をその範疇で、というだけでは限界が生じてしまいます。

対象の本質を理解し、本来のポテンシャルが発揮できるよう考え続ける。その結果、それが他の課題とマッチする、あるいは見えなかった課題の奥まで見えるようになる。そうした構造へとアイデアの対象が変化しており、それは電通にとって大きな機会だと思います。

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