海外事業は成長を加速。
国内事業は改革推進で
新たな成長を目指す
2016年度の連結業績は、国内事業が堅調に推移する中、当社グループの海外事業は、競合メガグループを大きくアウトパフォームするスピードで力強く成長しました。
国内事業の売上総利益は、電通単体における売上総利益率の向上に加えて国内グループ会社が貢献し、3,632億円(前年同一期間比(※1)4.3%増/うちオーガニック成長率は4.5%増)となりました。また、調整後営業利益(※2)は、国内は973億円、7.7%増となりました。
海外事業では、既存クライアントからのビジネス拡大と新規アカウント獲得が堅調に進んでいることに加え、米国を本拠とするMerkle Group Inc.(マークル社)を筆頭に、今後の成長の基盤として必要なリソースの獲得および競争力の強化に資する多数のM&Aを実施しました。これらの結果、2016年度の海外事業売上総利益は、為替の影響はあったものの、オーガニック成長に加えてM&Aも貢献し、4,260億円(同2.9%増/うちオーガニック成長率は5.7%増)となりました。なお、為替影響排除ベースの成長率は同18.1%増となっています。
地域別では、Americas(米州)が同28.9%増、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)が同12.6%増、APAC(日本を除くアジア太平洋)が12.2%増と、すべての地域で引き続き強いモメンタムを維持し、市場成長を大きく上回る伸びを確保しました。海外事業の調整後営業利益は、690億円(同1.6%減)、為替の影響を除けば同11.2%増となっています。
当社グループは中期経営計画の達成に向けてさまざまな施策を着実に実行してきました。その結果、昨今の為替変動の影響等も含めて総合的に考えれば、2016年度の業績をもって、全体として当初2017年度の数値目標としていた水準に到達することができたと考えています。
一方、国内事業においては、過重労働問題等の構造的課題(日本における労務問題への対応についてページをご参照ください)の解決に向けた労働環境改革の途上にあります。一連の問題の根底にあった構造的な要因を解消し、国内事業改革を早期に実現すべく、2017年度は集中的に取り組みを進めていく計画です。2017年度には、電通単体だけで人的資源の補強に対して約25億円、省力化・合理化のためのデジタル化・IT化に対して約30億円、オフィスの設備投資で15億円、合計で約70億円の投資を行います。
これらは中期的視点に立った生産性向上に必要とされる投資と位置づけており、当社国内事業を、新たな働き方を確立する先進的な存在へと進化させるべく、真摯に取り組みます。
海外事業については、マクロ環境の変化を注視しながら、様々なリスクを適切に見定めた上で、成長のモメンタムを維持し、さらに高めていく考えです。2016年に当社グループは、CRMサービス企業として米国独立系最大級のマークル社を買収しました。企業活動や消費者の変化を先取りした、確かなケーパビリティと成長機会を戦略的かつ積極的に取り込むこのようなM&Aを今後もダイナミックに推進します。
さらには、新たに獲得したケーパビリティを、グローバルベースで確立している消費者インサイト、クリエーティビティ、テクノロジーと融合し、他企業にない独創的な提案を行うことで、既存クライアント内に存在する事業機会の深掘りと、新規クライアントの獲得も図っていきます。
電通グループは引き続き国内・海外での成長領域への積極的な投資を資本配分の最優先事項として、持続的な利益成長を追求します。そして、事業成長による企業価値の長期的な向上、継続的かつ安定的な配当、機動的な自己株式の取得等を組み合わせて資本効率の向上を目指すとともに、株主・投資家の皆様への総合的な利益還元を図り、ROEの中期的な向上を目指します。
2016年度の配当は、当期の業績および中長期的な業績見通し、今後の投資計画を含む資金状況や財務の健全性等を総合的に勘案し、慎重に検討した結果、1株につき85円(うち、中間配当40円、期末配当45円)といたしました。皆様におかれましては、引き続き電通グループの経営に対するご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
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前年同一期間において、3月決算であった当社および連結対象会社は2015年1月1日~2015年12月31日までを、12月決算であった連結対象会社は同期間をそれぞれ連結対象期間としています。