Message海外事業統括からのメッセージ

取締役 執行役員 電通イージス・ネットワーク取締役会議長 ティム・アンドレー

取締役
執行役員
電通イージス・ネットワーク取締役会議長
ティム・アンドレー

10年前、私が電通創業以来初の外国人執行役員に任命された時、当時の経営陣は理解していたのです。日本経済の低成長と日本市場の成熟、そして高齢化の進展により、世界的にデジタル領域が急成長していく中、従来の日本のメディア業界の中で指導的役割を発揮し、輝かしい歴史を創ってきた当社のビジネスが近い将来、間違いなく脅かされるであろうことを。

それからわずか10年。デジタル化とグローバル化への戦略的な拡張と投資は、電通グループの国際競争力と企業価値を効果的に高め、真のグローバル企業へと成長させました。2017年度には、電通グループの売上総利益は10年前のほぼ3倍にまで増加。2008年度の時点では連結売上総利益のわずか10%にとどまっていた海外事業の売上総利益は2017年度には全体の58.8 %を占め、うち57.9%はデジタル領域で獲得するに至っています。電通は、国内では強力だが国外には限定的な影響力しか持たない「日本企業」から、日本に本部を置く競争力の高い「グローバル企業」へと変貌を遂げたのです。

グローバル化とデジタル化の推進において重要な役割を果たしたのが、戦略的M&Aです。当社史上最大規模となったイージス・メディアのM&Aから5周年目にあたる2018年は、この間に起きた変化を振り返るには良いタイミングと言えるでしょう。

2013年に電通がイージス・メディアを買収した時、同社の従業員数は15,000名でした。2014年、同社は電通の海外事業との統合によって、22,000人の従業員を抱える電通イージス・ネットワーク(DAN)となりました。その後、DANは150以上のM&Aと投資を実施し、年平均6%のオーガニック成長を成し遂げ、4年後の現在では42,412人の従業員を抱えるまでに成長しました。DANは現在、世界145以上の国と地域で事業を展開しており、電通グループの売上総利益に占める割合は増え続けています。2017年の海外事業の売上総利益内訳は、米国が40%、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)は35%、APAC(日本を除くアジア太平洋)は25%です。

DANの戦略的M&Aはグローバル市場における競争力の向上と事業成長の促進はもちろん、資本コストを大幅に上回るリターンを上げることで過去10年間のROIC(投下資本収益率)を高め、バランスシートにも貢献しています。コラボレーションを促進する、ユニークなオペレーティング・モデル。クリエーティビティと機敏性、そして企業家精神を併せ持ち、データとテクノロジーが主導するマーケティングに求められるプロセスとシステムに対応する従業員を擁する電通グループは、そのケーパビリティをクライアントのために活用する準備ができているのです。

2017年度 ビジネス・レビュー

当社の海外事業の成長率は、2014年のDAN設立以降、市場と競合の成長率を大きく上回り続けてきました。2017年には初めて競合の平均程度となりましたが、これは同年の一時的な市場環境のプレッシャーに起因するものです。しかしながら、厳しい市場環境の中で多くの新規ビジネスを獲得することができたことは、2018年の業績にとって追い風となることでしょう。データとインサイト、そしてアドレッサビリティによって消費者エンゲージメントを図り、ブランドを構築する私たちの手法は、クライアントのニーズに的確に応えるものです。電通グループは2018年末までに、米国で実績を持つグローバルプラットフォーム「M1™」を、最大の市場で本格展開していく予定です。電通グループは引き続き、M&A投資を活用して戦略を推進します。2017年にも戦略的M&Aを通じて新たな人材や重要なケーパビリティを獲得しており、これらは将来にわたってオーガニック成長と競争優位性の維持に貢献するでしょう。
2018年の戦略はオーガニック成長とM&Aによる成長、いずれも優先するというものです。2018年はDANにとって「投資の年」となります。競争力強化と持続的成長を加速する事業投資、そして共通のプラットフォームとシステムへの投資により、DANは今後長期にわたる持続的成長を実現するでしょう。

クライアントを中心に置く

私たちの役割は、クライアントのビジネスを―とりわけその対象である消費者を理解し、クライアントの抱える問題を解決することにあります。急速に変化し続ける市場の中でクライアントが最も重要なマーケティング資産である「ブランド」を構築できるよう、私たちは、データの価値を最大化し、クライアントの競争優位性を高めます。ダイナミックなコンテンツの力を得て、消費者データを消費者データを活用し、消費者エンゲージメントの実現を可能にしたグローバルプラットフォーム「M1™」や、シンガポールにある当社のグローバル・データ・イノベーション・センターが、その原動力です。同センターでは、データ・サイエンティストと最良の技術的才能を持った人材が、データ分析、そしてメディアおよびマーケティングの分野における専門知識の蓄積のため、機械学習、人工知能および認識アルゴリズムに関するイノベーションを加速しています。
電通グループにおけるデータとテクノロジー、そしてアナリティックスへの投資は比類なきものです。
私たちはすべてのビジネスがデジタルエコノミーのソリューションを必要とするということ、そしてその確実な成長性に焦点を当て、データ戦略が提供するインサイトとアドレッサビリティによって競争優位性を生み出しています。

「人」を中心に置く

あらゆる局面で「人」を対象とするビジネスを営む私たちにとって、才能ある人材は最も大きなコスト対象であり、同時に財産でもあります。私たちは彼らに対し、称賛と承認、統合と協調の企業文化をもって導くことの重要性を十分に理解しています。
私は、日本で「現地現物」(現場へ赴き、自らの目で見て確認する)というかけがえのない原則を学びました。業務の遂行と価値の創造、そして問題の発見と解決のすべてが起きているのは現場、あるいは最前線です。そこへ実際に足を運び、状況を理解する必要性を説くこの原則は、現実的かつ効果的な方法であり、私は電通グループのリーダーたちにもこの原則に従って行動することを勧めています。
電通グループの未来は、次世代を担うリーダーたちの手の中にあります。彼らの優れた資質とビジネスへの情熱は、私に未来への確信を与えてくれるのです。

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