電通グループの強み

日本を含む真のグローバル展開

コラム:世界の広告市場の展望

ジェリー・ブルマン
電通イージス・ネットワーク 取締役CEO
電通 執行役員

世界の広告市場において、グローバリゼーションとマーケティング・コンバージェンスは依然として重要なテーマであり、地域やメディアチャネルの境界を越えて広告費に関するトレンドを牽引するものとなっています。

グローバリゼーション

グローバリゼーションが加速化している要因は多数ありますが、特に、発展途上国における消費者のさらなる需要獲得、複雑化したプロセスの中でコスト削減を図ろうとする企業の意向、そして、安い人件費で高い技能を提供する地域へのアウトソースの増加などが挙げられます。そして、国際間取引の環境が次第に安定化しつつあることが、この状況の追い風となっています。

広告業界では、グローバリゼーションの影響が一層強く表れています。その背景には、グローバル企業のマーケッターが、優れたイノベーションやアイデアの迅速なやり取り、グローバルに展開する一貫性のあるプロセス、そして人材や情報を活用するための効果的なシステムを必要としていることが挙げられます。このような環境下、広告主は、将来の成長の源泉がどこにあるかを判断し、経営資源の投下先の優先順位を決定できるよう、さまざまなマーケットと地域を評価する必要があります。

マーケティング・コンバージェンス

さまざまなプラットフォームやチャネル(特にデジタル)の融合を志向するマーケティング・コンバージェンスにより、地域やテクノロジーにおける境界線はもはや無意味なものとなりました。人々もテクノロジーもシームレスに融合され、情報、データ、そして、人的ネットワークへの無限のアクセスが可能となっています。

さらに、特に米国と中国における大規模インフラを有するメディア・オーナーの台頭により、ソーシャル・メディア、モバイル、動画、eコマースの分野が急速に一体化されつつあります。これらのメディア・オーナーのビジネスモデルは、消費者にライフマネジメントを提供することのできる、彼らの有するプロダクト群による垂直統合された収益源を基盤としています。その結果、すべての消費者のコミュニケーション、エンターテインメント、友人・知人とのコミュニティ、写真、購買行動などが、すべて1つのプラットフォーム上に統合され、それらのチャネルでメディアブランドと円滑な関わりを持つようになっていきます。

世界の広告費予測

こうしたことを背景として、マーケティング・コンバージェンスは引き続き、世界の広告業界の将来を左右する主要な原動力となることが見込まれます。オンライン取引に対する消費者の信頼性が高まってきていること、また、モバイル機器(特にスマートフォン)の普及によりブロードバンドと高速通信の利用がますます拡大していることから、デジタル広告費は、今後、2014年の広告費全体の伸びの3倍のペースで伸長していくことが予測されます。その根拠は、2014年のソーシャル・メディアおよびモバイル広告費が前年比で50%増加すると見込まれていることにあります。

こうした動向を踏まえ、Caratが発表したグローバル広告費成長率予測(世界59カ国を対象)によると、世界の広告費は2014年に前年比5.0%増となる5,542億米ドルになるものと予想されています。これは、2013年の同3.6%の増加に比べ、著しく加速したペースと言えます。

地域別の広告費予想

2014年にプラスの伸びに転じることが予想される西ヨーロッパの広告費は、前年比2.7%の増加が見込まれます。経済の勢いが持続している英国では、同7.5%の成長が予想されます。一方、ドイツおよびスペインにおいては、2013年の減少から回復し、2014年は緩やかなペースで拡大すると見られます。中央および東ヨーロッパはロシアの同3.9%という成長が牽引し、広告費が3.5%増加すると予想されます。

米国の広告市場は、二桁成長を続けるデジタル・メディアの貢献により、2014年は前年に比べ4.9%拡大するものと予想されます。ラテンアメリカは、前年比9.4%の増加が予想されるブラジルが牽引する見込みで、世界の広告費市場は、引き続き過去最大の増加率が予想されます。

2014年のアジアパシフィックの広告費は前年に比べ5.4%拡大すると見られており、7.6%の増加が予想される中国が引き続き牽引役となっています。また、日本は、アベノミクス効果や2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定により、日本の広告費の成長率は、2014年は前年比2.0%増、2015年は同1.7%増と予測されるなど、4年連続で前年を上回る見通しです。

長期的に見ると、焦点は世界第1位と第2位の経済大国である、米国と中国になるでしょう。中国は依然、巨大なポテンシャルを持っています。10年前に比べ経済は成熟しており、長期的に持続可能な成長を続ける可能性が高いと思われます。また、コストが低く規制緩和が進んだ自由市場経済である米国は、多くの企業にとって、引き続き魅力的な活動の場と考えています。

ジェリー・ブルマン
電通イージス・ネットワーク 取締役CEO
電通 執行役員

1989年
BBJ創設
1999年

イージス・グループによるBBJの買収により、Carat International(カラ・インターナショナル)社長就任

2003年
イージス・メディア欧州CEO就任
2008年
イージス・メディアCEO就任
2010年
イージス・グループCEO就任
2013年
電通によるイージス・グループ買収により、電通イージス・ネットワーク取締役CEOおよび電通執行役員就任

上記のほか、Young & Rubicam(ヤング&ルビカム)やWCRSメディアでの勤務経験もあり、広告業界で25年にわたり培ってきた経験を活かして手腕を発揮しています。

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